現役の学生が運営する飲食店がいま注目を集めています。大学で学びながら経営にも挑戦する学生たちの思いや、相次ぐ出店の背景を取材しました。
大分県別府市に2021年8月にオープンした「N.Cafe ISHIGAKI」は学生主導で運営され、働いているのは全員、大学生です。そして、5人のスタッフをまとめるのはAPUの国際経営学部に通う2年生・隈雅彬さんです。リーダーとして勤務のシフトや売上の管理などを行っています。

(隈雅彬さん)「1日の売上とか、自分の店の商品をどうやってプロモーションしていくかというのは不安がありました。やっぱり一番大変なのはシフト管理だと思います。みんな授業の関係で出れない日とかもあるんで」

授業との両立という学生ならではの苦労もありますが、接客の改善や集客にも意欲的に取り組みます。
「若い世代に地域を盛り上げてほしい」と、オーナーの伊藤典恭さんは場所を提供し運営を任せています。さらに、学生ならではのアイデアにも期待しています。
(伊藤典恭オーナー)「カフェを運営するからと言って、コーヒーを入れてお客様にケーキを提供したり売っていくということではなく、私達では考えつかないようなことを提案して欲しいなと思います」

今後は、イベントの開催やSNSの活用などで集客を図ろうと考えている隈さん。店での仕事は大学で専攻する「経営」の学びにもつながっているようです。
(隈雅彬さん)「ここで学んだ売上の上げ方とかSNSを使ってのマーケティング集客とか将来にいかせられたらと思います」
一方、大分市の石焼生パスタ専門店「ライズ・キッチン」を経営するのは大学4年生の田中賴さんです。

(ライズ・キッチン・田中賴代表)「起業にはもともと興味があって、飲食店って波があって難しい分、経営のことをすごく学べるんじゃないかと思い、そこで成長したいと思って、パスタの飲食店をオープンしました」

田中さんは2022年3月に起業し、別府店をオープン。メインメニューの石焼生パスタが若い世代を中心に人気を呼びました。その売り上げを元手に、5か月後の8月、2店舗目となる大分店を開業しました。
(田中賴代表)「22歳でまだ若いので、今なら挑戦できる。その挑戦できるというのが学生で起業するメリットだと思います」
学生生活との両立は大変と言いますが、売上は右肩上がり。今後は、夜営業の充実やインバウンドの取り込みなどの展開も考えさらなる成長を目指します。
(田中賴代表)「2店舗で収まらず、3店舗4店舗と拡大していきたいと思っています。それも大分県だけではなく、九州また本州の方にも行っていろんな人に自分の石焼パスタを食べていただきたいなと思っています」

こうした学生の力を地域の活性化に繋げようと大分市では2022年度からビジネスプランコンテストや起業セミナーなどの事業に取り組んでいます。
(大分市創業経営支援課・上田貴裕さん)「学生など若年層の方に起業を通じて大分に定着していただくことによって、大分市の雇用の創出や街のにぎわいに繋げていきたいと考えています」

実践を通じて経営について学ぶ学生たち。若い世代の自由で柔軟な発想は、地域の経済を盛り上げていくことにつながるかもしれません。