日本海に浮かぶ島根県・隠岐諸島の一つ、中ノ島。2300人ほどが暮らしていて、島にある県立隠岐島前高校は、生徒の減少によって、一時、廃校寸前でした。ただ、今は県外からの志願者が増え、人気の高校になっているのです。そのわけは…。

高校生の“島留学”「島親」をマッチング?

ここは日本海に浮かぶ島根県・隠岐諸島の1つ、中ノ島。2300人ほどが暮らしていて、島にある県立隠岐島前高校は、生徒の減少によって一時廃校寸前でした。

ただ、今は県外からの志願者が増え、人気の高校になっているのです。その理由は…

生徒
「おはようございます!」

「島留学」という制度です。

高校生が親元を離れ、寮に住みながら離島の学校に通う制度で、これまでに400人ほどの生徒を受け入れてきました。

東京出身の高校3年生、岩間亮さん。授業の特徴について、こう話します。

岩間亮さん(17)
「毎週木曜日、1限から6限ぜんぶ使って、自分のやりたいプロジェクトが出来るのが大きい」

この日は、学校の外で、島に住む人からボートづくりを教わっています。

岩間さん
「すごく自然豊かなんですけど、実は小学生たちがあんまり外で遊ぶことがなくて。授業で外遊びのイベントみたいなものを開催すれば、少しでも問題・課題が解決されるかなと」

島の課題を自ら探し、島の人と協力しながら解決していく。島留学の魅力の1つです。

岩間さん
「元々ぼくの住んでいた地域は、東京の中でも学力や偏差値を重視するような地域だったけど、ずっと疑問に感じていて。もし東京の学校に進学していたら、こういった経験、一緒に作るという経験は得られなかったと思う」

「勉強だけの高校生活でいいのか?」「海や自然あふれる環境で学びたい」。こうした動機の子どもたちが集まっているといいます。

授業が終わり、近くの島と島を結ぶ巡回船に乗る生徒たち。その1人、尾野円珂さん。この春に入学したばかりで、松江市から島に来ました。

尾野円珂さん(15)
「こんにちは」

訪れたのは「島親」と呼ばれる人のもとです。島の住民が親に代わって生徒の生活をサポートする制度。

尾野さん
「鳥居くぐるんですか?」
島親
「うん、そう」

尾野さんの島親は神社の宮司です。会うのはこの日が2回目。

島親
「ここうちの土地なんだよ」
尾野さん
「ええ!すごい!」
島親
「子供たちが夏になったらこの辺で泳ぐんだよ」
尾野さん
「いいな、泳ぎたい」

Q.現時点の印象って
島親
「うーん…なんか賢そうな気がする」
尾野さん
「あははは」

誰が島親になるかは、生徒が入学前に学校と面談して決まります。

尾野さん
「(来る前に)マッチングの面談をZoomでやって。私は伝統文化に興味があるので、隠岐独自の隠岐島前神楽とか、神社のことに興味がありますと言ったらマッチングしました。島のことをたくさん教えてほしいです」

「島留学」について、島の人たちはどう感じているのでしょうか。

島民の男性
「若い人たちが1人でも2人でも増えれば嬉しい。自分が若くなるじゃない」

島民の女性
「高校のときに家に招いてご飯食べていたりとか、仲良くしてくれた子が大人になって帰ってきて、成長しているの見るとすごく嬉しい」