連合が不満を募らせるワケ…立憲民主党と国民民主党に距離感
山形キャスター:
政界とも密接な関係がある連合が今支援する政党が、立憲民主党と国民民主党の2つです。ここに連合の悩みがあるということですが…。

TBS報道局政治部 新田晃一 記者:
なかでも、国民民主党の“あること”がその原因の1つです。2024年に行われた衆議院選挙で、国民民主党が大躍進しましたよね。
山形キャスター:
議席数を7から28へと大きく伸ばし、躍進したということは喜ばしいと思うのですが、そうではないのでしょうか。

TBS報道局政治部 新田晃一 記者:
立憲民主党と国民民主党は、今かなり距離感がある状況になっています。
たとえば年収の壁や企業・団体献金をめぐり、国民民主党が単独で与党と協議するなどしているため、政策や国会対策では、立憲民主党とのかなりの距離感が生まれています。
連合側としては、この2党には手を組んでほしいのに、いがみ合っているように見えるという意味です。
一方、国民民主党は衆院選でネット戦略が功を奏し、新しい支持層を獲得しました。その新しい支持層は、保守的な考えの人が多いのではないかという指摘があります。
「リベラルな立憲民主党と組むより、独自路線で行ったほうが参院選で勝てる」という思惑もあるように思います。しかし、そうなると、連合が目指す二大政党制がどんどん遠くなってしまいます。

こういった状況で、連合からは国民民主党に対する不満の声が出ています。「自民・公明にばかり向きすぎ」「手塩にかけ育てたのに離れていく感じがする」といった意見のほか、なかには「調子に乗っている」と苦言を呈する連合幹部もいました。
不満を募らせる連合ですが、国民民主党が今後もこの路線に舵を切るのか注目です。

井上キャスター:
連合が二大政党制を理想とするのは、すごくわかる気がします。しかし、その理想を追い求めるあまり、「考え方が違ってもあなたたち手を組みなさいよ」というのはどうなのでしょうか。
むしろ、少数与党で政策ごとに手を組むという新しい国会のあり方が見えてきたわけなので、いろいろな考え方があっていいのではないかと思います。二大政党制にそこまでこだわるべきなのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今度の参議院選挙では、32の県で1人区になっています。有権者からすると、1人を選ぶので、やはりまとまった2つの勢力からのほうが選びやすいというのはありますよね。
それから、井上さんは「いろいろな考え方があっていい」と話していましたが、たとえば自民党にもいろいろな考え方がある人が集まり、政権を維持しているからずっと保たれているわけです。
だから野党も1つになるのが望ましいというのが連合の考え方なのですが、国民民主党がここまで影響力を高めてくると、野党の一本化というのはなかなか簡単なことではないですよね。
出水キャスター:
連合の中でも現状、意見が割れているというか、どっちにつくべきかというような拮抗があると考えていいのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
たとえば原子力政策は、電力関係の労働組合の人はもちろん推進してもらいたいですし、そうではない人たちは原発政策に反対、慎重論が多いです。
そういう基本政策のところでまだ相当な隔たりがあるので、本当はもう少し調整する必要があると思います。
井上キャスター:
むしろ立憲民主党としては、国民民主党のほうが勝ちやすいならそちらに合流するという動きはないのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
国民民主党の人を野党統一で推すという選挙区も、2~3はすでに出始めています。そういうギブアンドテイクはこれから出てくるでしょう。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年