セラピードッグの力 児童の“きっかけ”を

これまで高齢者施設や医療の現場で、心身のケアや認知症の症状緩和といった面で活躍してきたセラピードッグ。欧米を中心に1990年代以降、教育現場にも活動の場を広げていますが、日本での事例はほとんどありません。

そこで吉田先生は日本での普及を目指し、アンちゃんを学校に迎え入れました。

犬の専門知識を持つ吉田先生は、自宅でアンちゃんを飼いながら、日中は学校に同行させています。

東洋英和女学院小学部 吉田部長
「日本では前例のない活動なので、(保護者などから)かんだらどうするんだとか、衛生面、特に(犬)アレルギーの児童への対応が一番言われました。それは心配になる所だと思うが、一つ一つ説明してクリアしながら進めてきた」

なぜ、そこまでしてアンちゃんを入学させたのか。

背景には全国で増加する不登校児童の存在があります。不登校の小学生は13万人を超え、「過去最多」に。

そうした児童を、セラピードッグの力で少しでも減らしたい。そんな思いが、取り組みの原動力になっているのです。

東洋英和女学院小学部 吉田部長
「犬が好きな子にとっては『行ってみようかな』『撫でてみようかな』って、きっかけになると思う」

入学から1か月、アンちゃんは学校のアイドルです。

児童
「いっぱいペロペロしてくれる。めっちゃかわいいの」
「そう!めっちゃかわいいの!」

3年生の花さん。朝6時、目覚まし時計が鳴る前に起きだして、早速、制服に着替えます。

父親「早く学校行きたいの?」
花さん「うん」
父親「なんで?」
花さん「アンちゃんと…」
父親「アンちゃんと遊びたいの?」
花さん「うん」