やなせたかしさんが生んだ「アンパンマン」の制作秘話などを堪能できる展覧会が、26日、熊本市現代美術館で開幕しました。
「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」
会場には、やなせさんが残した名言とともに、制作に携わった雑誌や作品の原画など、200点を超える資料が並んでいます。

26日の開幕を前に、学芸員の冨澤治子(とみさわ・はるこ)さんに案内してもらいました。

熊本市現代美術館 冨澤治子 学芸員「やなせ先生がはじめ描いていたのはコマ漫画。短いストーリーで話が進むものを手掛けていた」
1970年代の4コマ漫画では、銃を持ってウサギを狩る男性が、ウサギの仲間によって返り討ちに遭います。男性を撃ったウサギの目からは涙がこぼれています。

熊本市現代美術館 冨澤治子 学芸員「それぞれの立場の正義があるということを考えさせられるし、弱いものが持っている強さを描かれているのだと思います」
こうした作風は、22歳で徴兵された、やなせさんの戦地での経験が背景にあると言われています。

漫画や絵本以外にも、舞台美術に雑誌編集、百貨店のロゴデザインも手掛け、たどり着いたのが…本当に困っている人に自らの顔を食べさせて元気にする「アンパンマン」です。
今でこそおなじみの姿ですが、誕生直後は周囲の大人に「くだらない」「下品」などと言われたといいます。
しかし、子どもたちの間では瞬く間に人気者になりました。
熊本市現代美術館 冨澤治子 学芸員「いいものはいい、嫌なものは嫌、と言う子どもたちが、アンパンマンを選んでくれたのが何よりうれしかったと聞いています。とにかく絵を描く力がすごいので、ビジュアル的な楽しみ方をしていただきたい」

「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」は熊本市現代美術館で、4月26日(土)~6月30日(金)までです。※火曜日休館