コトコト音がする 遺骨を取りに行って開けてみると

(戦没者遺族 白鳥孝雄さん(82))
「(私が)生まれて3か月ぐらいで出て行ってるから全然覚えがないです」

白鳥孝雄さんの父親・金治郎さんはビルマ=現在のミャンマーの山中で命を落としました。

(戦没者遺族 白鳥孝雄さん(82))
「遺骨はおふくろがおじいさんと2人で岡山まで取りに行ったと言っていた。何かコトコト音がするので、何が入っているのかと思って途中で開けてみた。

そしたらリンゴが1個入っていた。リンゴが入っているのはいい方で、ほとんどは石だと…」

遺骨の回収がいかに困難だったかを物語っています。厚生労働省は日本軍の海外での戦没者数を推定240万人としています。

(戦没者遺族 白鳥孝雄さん(82))
「生まれた時から親がいないから、父親がどういうものかというのが全然分からない…」

戦没者の遺族でさえ故人のことをほとんど知らず、断片的にしか戦争を語れなくなっているのです。

(中井地区遺族会会長 荒木一郎さん(80))
「最近特に高齢化が進んでおりまして、遺族会の方も衰退していると」

時代の流れとともに、戦争の記憶が失われようとしています。

(戦没者遺族 白鳥孝雄さん(82))
「なんであんな殺し合いをしないといけないのかと。それも国民全員がそれを望んだのならまだしも、トップの一存であれほどなんでしないといけないのか。親父は誰のために戦争へ行って死んだのかと」

終戦から80年が経ち、ますます遠ざかる戦争の記憶。いま、その記憶をどう残し次の世代につないでいくかが問われています。