ことしもカキのシーズンを迎えました。この地方有数の養殖地、三重県鳥羽市浦村町(うらむらちょう)では、カキの大量死などの試練を乗り越えるべく、12の養殖業者がスクラムを組み、新たな挑戦が始まっています。
栄養豊かで「海のミルク」の異名を持つ、牡蠣。先週土曜日、「浦村かき」で知られる三重県鳥羽市浦村町に濃厚な牡蠣が食べ放題の店、「かき処かきいち」がオープン。ことしの「初ガキ」が振る舞われました。
(訪れた客)
「うまい。今年もうまい」
「ものすごくおいしい」
たくさんの笑顔の一方で、地元の関係者には受難の日々が続いてきました。
「浦村かき」は2年ほど前から、原因を特定できない大量死が発生。地元の鳥羽磯部漁協によりますと、2019年までは500トン以上あった出荷量は、去年までに150トンに激減しています。

また、今年1月には南太平洋トンガ沖での海底火山噴火による津波の影響で、33の業者の養殖いかだが大量に流されました。多くのいかだが破損し、流された際に、牡蠣が海底に落ちるなどの被害も。
業者の高齢化も進む中、現状をなんとか打破しようと12の養殖業者が団結しました。
(浦村SeaFarm 浅尾大輔取締役)
「(養殖業者が)組むことによって苦難を乗り越えようという気持ちで会社を設立した。いろいろなことにどんどんチャレンジしていきたい」
ことし7月に新会社「浦村SeaFarm」を設立。工場やいかだなどを共同で使えるようにしてコストダウンを図り、さらに新しい洗浄機を3600万円で購入しました。作業場に運ばれたカキを細かく分けて汚れを洗い流すもので、従業員の負担が減り、作業時間も大幅に短縮。衛生面も改善されました。

(従業員)
「泥もきれいになるので作業がしやすい。楽になった」
「試行錯誤してみんなで悩んだり考えたりした。でも前向きに」
「まだ不安と期待がいっぱいで、やってみないと分からない。とりあえず頑張っていきたい」
店は初日から大盛況。蒸しガキや焼きガキが90分食べ放題で、カキフライや釜飯などが付き、大人3300円。3歳未満は無料です。
(浦村SeaFarm 山本善幸社長)
「(従業員は)ほとんど高齢の人。若い人を少しずつ増やしていって、生産量を増やして努力していきたい」
本格的なシーズンに向け、東海地方有数のカキ養殖の町の挑戦は続きます。