■台湾問題の本命は東沙諸島か

注目の台湾問題では、「台湾問題の解決は中国が自ら決める問題。最大の誠意と努力で平和的な統一を堅持するが、決して武力行使を放棄しない。すべての必要な措置を講じる」と話した。
――日本のマスコミは「台湾統一で武力行使辞さず。習主席強行姿勢」と言うが。
東京財団政策研究所 柯隆氏:
同じことを繰り返し言っているのですが、いま国際情勢が変わってきていて、ロシアがウクライナに侵攻しているので、日本人は中国も台湾に侵攻するのではないかと思ってしまうのです。ただ、この話は割合バランスが取れていると私は読んでいます。最大限の努力で平和的な統一を目指すわけですが、今の状況では平和的な統一はありえない。なぜかというと、片方は民主化している、片方は一党独裁をやっているわけだから、一緒になるのは難しいので。
では、武力行使をやるのかというと、台湾海峡を越えて完全に台湾を攻略するのは全面戦争になるわけだから、後ろにアメリカが必ず入ってくるし、日本もどこまで関わるかわからない。結局はバランスを取るためにこの表現は入れているのですが、短期的には武力行使は難しい。でも、3期目が終わりに近づいた場合、正当性が立証できない時にリスク管理という観点からすると、やはりやるだろうと。それに備えるというのは、私はひとつの考え方として正しいと思いますね。
――今後5年間やって3期目が終わりそうになった時に実績がなければ、台湾統一で何かやったということを残さなければならないと。
4期目に突入したいわけですから。でも、台湾本土を攻略するのは相当難しいので、中国にとって軍事的に重要な台湾の離島を押さえるという可能性が出てきます。台湾の島とフィリピンの間に東沙諸島と呼ばれる軍事的にとても重要な島があります。そこを取りたいというのが本音だと思います。