参院選控え…選択的夫婦別姓「3つのシナリオ」

小川彩佳キャスター:
安野さんはご結婚されていますが、選択的夫婦別姓についてはどのように考えていますか。

AIエンジニア SF作家 安野貴博さん:
早く実現してほしいです。

やはり私は「安野」姓をそのまま使い続けている立場なので、妻には負担を強いてしまっていると思いますし、妻は今もビジネスをやっていますが、姓を変えたことでやりづらさを感じていると思います。

周りの研究者も、論文に書く名前もあるので、早く実現してほしいという声をすごく聞きます。

藤森祥平キャスター:
30年近く結論が出ないまま現在に至っているわけですが、選択的夫婦別姓制度について議論の鍵を握っているのは、推進と反対がはっきり分かれている自民党です。

自民党が今後、どういう形で進んでいけば選択的夫婦別姓は決着していくのか、TBSスペシャルコメンテーターの星浩さんは3つのシナリオを挙げています。

●自民党議員の一部が賛成 → 成立
●自民党として反対 → 衆院通過も参院で否決
●採決見送り

どれが一番現実的なのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
自民党の中では当初、夏の参議院選挙で選択的夫婦別姓を争点にするよりはむしろ賛成し、実現させた方がいいのではないかという議論がありました。

しかし党内の保守派、反対派が強くなり、この局面では採決をしばらく先送りにした方がいいという意見が、執行部の中では最近強まっている状況です。

藤森キャスター:
今お話があったように、自民党の中では、家族の一体感が損なわれてしまうという意見など、夫婦別姓に反対を示している保守派がいます。

それから、旧姓の通称使用を広げていって問題を解決しようと主張している議員もいます。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
選択的夫婦別姓にすると家族の一体感が損なわれるという議論がよくありますが、日本以外のほとんどの国は別姓を選択できるようにしているので、各国では家族の一体感が損なわれているのでしょうか。それは無理な議論だと思います。

小川キャスター:
ずっとこの議論は平行線をたどってきて、保守派の方々は、この考えを崩さないわけです。

そうした方たちが考えを変えてというか、賛成している自民党議員が押し切って成立に持っていくシナリオは、可能性としてあるのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
ずっと長年の懸案になっているので、いつまでも先送りするわけにいかないという判断も、自民党の中には確かにあります。

それから、小泉進次郎議員が一時言っていたのは、党議拘束をやめるということです。この問題は政策というよりも、個人の家族観などに関わるので、自由に投票してもらうことによって成立していくのがいいのではないかという意見がありました。

ただやはり、選挙が近づいてきて、応援してくれる保守派への配慮がだんだん今強くなっているのが現状です。これは女性の権利の問題になってきたので、私は早急に決着をつける時期になっていると思います。

藤森キャスター:
立憲民主党が今週中にも独自の案を国会に提出すると言っていますが、いよいよ大きく動きそうになるのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
動きますね。おそらく連休明けから本格議論があって、6月の下旬が国会の会期末なので、そこまでにはある程度の決着をつけなければいけません。どういう顛末になるか、これから大きな動きが見られると思います。

==========
<プロフィール>
安野貴博 さん
AIエンジニア SF作家
2024年の都知事選で5位
デジタルで政治変革を目指す

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年 福島県出身