「あなた誰ですか?」 父と別姓、“あと継ぎ娘”の苦悩
夫婦の約95%は、女性が改姓しています。

富久田三千代さん(52)は、宇都宮市で園芸専門の会社を営む女性社長です。5年前に父から家業を受け継ぎました。
先代の社長 父・益子清さん(82)
「わたしなんかよりもずっと経営者的な感覚を持っています」
富久田さんは東京都内で就職し、その後地元に戻り、父が経営する会社に入社。29歳で結婚し、富久田姓に改姓しました。3人の娘の母親です。
結婚当初は想定していなかった、家業の事業承継。様々な壁にぶち当たったといいます。

とちぎ園芸 富久田三千代 社長
「『あなた誰ですか?』というところですよね。『嫁に行っているのになんで家業を継ぐんだ』や、(年代の上の人に)『嫁に行った先に行って謝って来い』と言われたことがあった。それはなんかおかしいなと思って」
父から事業を引き継いだが、父とは異なる姓。社長にとって、名字はどのようなものなのか?そこには、中小企業ならではの特徴がありました。
とちぎ園芸 富久田三千代 社長
「中小企業って20~30年に1回(社長が)代わる。名前というのが一つのブランドになっている」
富久田さんは3年前に離婚しましたが、20年近く使ってきた名字を変えずに生きる道を選びました。
とちぎ園芸 富久田三千代 社長
「姓が変わるとやはり社長が代わるのかと思われる方もいるかもしれない。キャリアが断絶されてしまうんではないかという不安が非常にありました」
富久田さんの背中を間近で見てきた長女の怜夏さん(23)は、将来的に事業を継ぐ予定だと話しますが…

長女 富久田怜夏さん
「今まで夫婦別姓にできなくて苦労してきた話もあるんだろうなというエピソードを(母から)聞いていたので、私は別(姓)になれるならなった方が、その選択肢があるのはいいと思います」
富久田さん自身も、法案成立に期待を寄せます。
とちぎ園芸 富久田三千代 社長
「冠に『選択的』ってついているのが一番の肝だと思っていて。選択する自由を与えてくれるのが一番。女性活躍してくれって言っているんだったら、そこを選ばせてくれるのが一番重要」