県の今年度予算をめぐり、先月の県議会では地方債を増額して財源を確保する野党提出の案が可決されました。

県が提出した案では県の借金返済に充てる「公債費」を629億円、貯金にあたる
「財政調整基金」を約4000万円として計上していました。
これに対し野党提出の修正案は公債費を減らし、その差額58億円を借金として借り換えて財政調整基金に回し、財源を確保しようというものでした。
この修正案が議決されたことを受け、玉城知事は総務大臣に対し議決の取消を求めて審査申し立てを行い、16日午後に受理されました。
2月議会からの動きを振り返ります。
県ワシントン事務所をめぐり波乱のうちに幕を下ろした県議会2月定例会。
▼自民党・仲村家治 県議「まさに翁長・玉城県政における多数与党のおごり」
事務所経費3900万円をすべて削除し予備費に回す、野党提出の修正案が可決されました。
ワシントン事務所問題が紛糾する傍ら、可決された野党提出の予算修正案は、返済予定だった県の借金58億円を返済せずに借り換え、「貯金」にあたる財政調整基金に積み立てるという案でした。
借金で借金を返し、財源を確保しようというものです。
自民党は修正の理由を「本来、事業に充てることのできるキャッシュをみすみす逃している」と説明していました。これに対し、玉城知事は…。
▼玉城知事「長の予算の編成権を侵すものであるということなどから、我々としては認められるものではないということでの、今回の申し立てになっています」
総務大臣に対し、議決を取り消すよう審査を申し立てを行うと発表し、16日に受理されました。このほか、玉城知事は58億円を財政調整基金に積み立てる必要性や、具体的な事業についての議論もなされていないことに疑問を呈しています。
また、可決案に基づいて借金を借り換えると、今後10年間で5億円の利子負担が発生すると説明しています。記録が残る1970年以降、都道府県がこうした申し立てを総務大臣に行うのは初めてのことで、玉城知事からの審査申し立てに対し村上総務大臣は「法令に則り適切に対応する」とコメントしています。
予算の修正権をもつ議会と、提出権を持つ県知事。ぶつかり合う権限をどう捉え、総務大臣がどのような判断をするのか、注目が集まります。

今年度予算をめぐり、県議会では野党提出の修正案が野党・中立の賛成多数で可決され、知事が審議のやり直し=再議を求めましたが野党の修正案は再び賛成多数で可決されていました。
これを受けて知事は国への審査申し立てを行いましたが、総務省は今後有識者3人で審理し、16日から90日以内に「議会の議決を”取り消す”裁定」、または「議決を”取り消さない”裁定」、もしくは「裁定をしない」、いずれかの判断を下すことになります。
県はこうした総務大臣の裁定に不服があれば、裁判所に訴えることも可能です。

知事は今回の申し立ての根拠のひとつに地方自治法97条第2項をあげています。
今回、修正案が提出・可決されたことは知事の権限を越えるのか、法令上はかなり曖昧といえます。こうした中、総務大臣は県の審査申し立てにどのような判断を下すのか、注目が集まります。