「1人でも多くの世界の人を助けたい」世界初の実用化への道は

小川キャスター:
本当に画期的な技術ですが、開発に至る過程にはどのような思いがあったのでしょうか。

大阪大学 澤芳樹特任教授:
我々はメスで治療してきましたが、なかなか助けられない、やはり悔しい思いをしてきました。特に我々は手術をすると、血管や便を治しますが、心筋細胞は治せません。

これを何とかできないかという研究をしていたときに、山中伸弥先生と出会い、山中先生がiPS細胞を作られたので、それを応用して心筋再生治療をやろうということで、20年近くかかってようやくここまで来たというところです。

藤森キャスター:
副作用はないですか。

大阪大学 澤芳樹特任教授:
副作用は今のところ全く見られていません。iPS細胞だとどうしても腫瘍ができるのか、不整脈が出るのかとか、そういうことも言われていますが、我々のやってきた中では副作用は全くないですね。

トラウデン直美さん:
貼ったものも、徐々に細胞としては入れ替えられていくということでしょうか。

大阪大学 澤芳樹特任教授:
細胞としては消えていくというのが正しいかもしれません。それでもその効果によって、弱っていた細胞が元気になったら、置き換わっていくというイメージです。

トラウデン直美さん:
小さいお子さんはドナーがなかなかいなくて、心臓移植ができないということをよく聞きますが、お子さんにも使えますか。

大阪大学 澤芳樹特任教授:
お子さんにも使えますが、倫理感という意味では、まず大人で治療法を確立してから子どもに。次のステップでは十分考えられています。

小川キャスター:
国の承認が下りるまでもハードルがありますよね。

藤森キャスター:
8日に承認申請したばかりですよね。

大阪大学 澤芳樹特任教授:
できるだけ早く承認してもらいたいと思っています。患者さんが世界中にいらっしゃるので、1人でも多くの世界の人を助けたいなと思っています。

トラウデン直美さん:
承認されたら、費用はどのぐらいかかってくるのでしょうか。

大阪大学 澤芳樹特任教授:
費用は保険で承認されたら、保険診療になるように今目指しています。よく言われている高額療養制度のレベルでできるのかなと思ってます。

小川キャスター:
期待が高まりますけれども、一刻も早く患者さんの元に届いてほしいという願いを込めて私たちも今後もお伝えしてまいります。

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<プロフィール>
澤芳樹さん
大阪大学 特任教授
iPS細胞から作った「心筋細胞シート」を開発

トラウデン直美さん
環境問題やSDGsについて積極的に発信
趣味は乗馬・園芸・旅行

※動画内で紹介したアンケートは10日午前8時で終了しています。