体のあらゆる細胞に変化することができるiPS細胞。これを使った新しい治療法について、大阪大学のベンチャー企業が厚生労働省に承認を求める申請を行いました。未来を変える、世界初の治療法になると期待されています。

世界初の治療へ「心筋シート」

大阪・関西万博の開幕まであと4日。

記者
「動く心臓です。よく見てみるとドクドクと鼓動のような動きをしているのがわかります」

目玉となる展示の1つがこの心臓、体のあらゆる細胞に変化することができるiPS細胞から作られました。

大きさは約5センチ。小さな見た目ですが、約2億個のiPS細胞から作られた心筋細胞が使われていて、1分間に約50回動きます。

この“iPS心臓”を手掛けたのは、大阪大学の澤芳樹特任教授。

大阪大学 澤芳樹特任教授
「iPS細胞から作った心筋細胞をシート状にしたもの」

薄いシートが、心臓のようにぴくぴくと動いています。このシートを心筋梗塞が重症化した「虚血性心筋症」の患者の心臓に貼り付けることで、心臓の機能が回復することが期待されています。

澤教授らは、これまで8人の患者にシートを移植する臨床試験を行い、いずれも経過は良好だということです。

患者の1人は..

「心筋細胞シート」の臨床試験を受けた男性(50代)
「(臨床試験を受けて)すごい体が楽になって、やって良かったと実感が湧いた。ゴルフも18ホールまわれなかったのが普通にまわれるようになった。それだけでもすごく違うなという感じで」

澤教授らのベンチャー企業「クオリプス」は8日、「心筋細胞シート」について、厚労省に製造・販売の承認申請を行ったと発表しました。
「クオリプス」によりますと、今後、厚労省に承認されれば、iPS細胞を使った世界初の治療法になるとみられています。

大阪大学 澤芳樹特任教授
「患者を救えるレベルの医療が大事。第一歩が踏み出せた