学校の“人気者”の力を借り、いじめ減
藤森祥平キャスター:
新学期がスタートする時期だからこそ、皆さんと考えたいテーマです。
いじめ重大事案になる前に防ぐための取り組みとして、報告・相談アプリ「スタンドバイ」があります。これは、匿名で専門の相談員に直接繋ぐことができるアプリで、三重県の四日市市では3年前に全ての小・中学校で導入されました。年間約8000件の相談があるということです。

教育経済学者 中室牧子さん:
学校としては「なるべく早く発見・予防したい」という気持ちがすごく強いと思います。
アメリカの公立小学校での取り組みで、いじめを大きく減少させたという研究結果があります。
藤森キャスター:
それが、プリンストン大学・パルック教授らの実験です。

ランダムに学校を選び、さらにランダムに選ばれた生徒に講習を受けてもらい、いじめをなくす運動をしてもらいました。
生徒たちの中には、友達が1人しかいない子もいれば、学校の中心人物で、コミュニケーション能力がある人気者もいます。
講習を行った学校では、いじめは25%減少しましたが、学校の中心人物である“人気者”が20%以上含まれている場合は60%も減少したというものです。
教育経済学者 中室牧子さん:
いじめが重大事案になった後に、保護者や教員・当事者同士で解決するのは、すごく大変です。
学校の人気者は、コミュニティの常識や規範を作っています。なので、“人気者”に働きかけてもらうことで「著しくいじめを減らすことができる」という非常に優れた研究です。
小川彩佳キャスター:
見て見ぬふりをしない、周りに流されないという空気も作ることができますね。
教育経済学者 中室さん:
思春期の子どもたちにとって、学校の中の常識や規範はとても大切なので、それをどう作っていくかというところから、考えられると良いと思います。