全国的に「まちの書店」が次々と姿を消していく中、岡山市北区の表町商店街に新たな書店があす(9日)、プレオープンします。若者の本離れが進むなど厳しい状況の中で、なぜいま書店を開くのでしょうか。
(砂山祐佳里記者)
「表町商店街に来ています。今月9日、プレオープンするお店というのが…こちら、正夢書房という書店になります」

岡山市中心部に位置する表町商店街です。百貨店や宝飾品店、カフェなどが軒を連ねるアーケードで、そこに新たにできるのが正夢書房です。どんな書店かというと…
(正夢書房 中谷祐太郎店長)
「文芸ではコアな層をターゲットにしているところはありますが、誰が来ても楽しめるような絵本も児童書も実用書もビジネス書も取り揃えています」
「あちらになるんですけど、こちらの棚ですね。今年100周年を迎えたエドワード・ゴーリー、香川で個展もやっているんですが。こちらは子どもがあまり見てはいけないといいますか、怪しい絵本になっております」

この棚には他にも、特定の画家が表紙を手掛けた本をまとめたコーナーも。一方でこちらの棚はというと。
(正夢書房 中谷祐太郎店長)
「“100万回生きたねこ”のような誰もが知っている名作も取り揃えておりまして、ニッチな層だけではなく親子で来ても楽しめるような構成になっている」

手掛けるのは、表町で宝飾品店を何店舗も営むトミヤコーポレーションです。なぜ、新たに書店をオープンさせるのでしょうか。
(トミヤコーポレーション 古市大藏会長)
「やはり表町がおもしろくなくなった。行政の力によって、シンフォニーホールだとかハレノワだとかはできたけれども、そこに来るだけで終わってしまって。見た後とか見る前に表町を楽しもうという部分がものすごく減ってきたような気がする。目的を持ってもらうためにどうしたらいいかを考えるのがやっぱり商人の知恵です」

インターネットの普及や若者の活字離れなどで、全国的にも減少しているのが書店です。表町にも、かつては、細謹舎など老舗の書店がいくつかありましたが、現在、残るのは数店のみ。素人目にもかなり厳しい状況の中、「書店」を選んだのには理由がありました。
(トミヤコーポレーション 古市大藏会長)
「本を求めてくる人は多様。人間が生きている上であらゆることが書いてあるわけだから。ただ何でも屋にはするつもりはなくて、ジャンルを分けて、ビジネス書や文芸書だとか。ようするに何でもあるということは何にもない事に等しい。『ここは売り場が広いけれども、何があるのかな』という感じなんです」
本と人を結ぶ場である書店。古市会長は店をただ作るというのではなく、物や人、人と人を結ぶ場所を次々と作っていくことで、表町商店街自体の価値を高めていきたいと考えています。
(古市大藏会長)
「表町というのはもうこれ以上拡張のしようがないから表町の部分とオランダ通り、場合によったら(路面電車の)両電車通り、その間くらい。あそこに行けば歩いて5分~10分で大抵のものがあるというようなエリアにしたらどうかなと。限りなくコンパクトシティにして、市民が生活しやすいような環境を作りたい」
【スタジオ】
ー書店は4月9日プレオープン。取材した記者によると「見たことのない本も数多く置いてあって、本好きからしても宝の山のようだった」そうです。
また、トミヤは今後もカフェ併設の書店のオープンなども予定しているそうです。