習慣化する:小さな報酬と繰り返しが大切

勉強を習慣化することは、多くの人にとって難しい課題かもしれません。
中室教授は、経済学の分野で注目されている「習慣形成(Habit Formation)」の研究を紹介しています。

ある研究では、大学生にジムに通う習慣をつけさせるため、小額の報酬を与えました。

その結果、報酬期間中はジムに通う回数が2倍に増加。
さらに興味深いことに、報酬が終了した後もジムに通い続ける傾向が見られました。

「最初はお金目当てで行っていたんですが、毎週毎週ジムに行くということを繰り返し継続しているうちに、だんだんそれが習慣になって、お金をもらえなくなってもジムに通い続けました」

この結果を分析すると、習慣化のためには2つの要素が重要だということがわかりました。

1. 何かを始めるときの抵抗感を和らげるきっかけを作る
2. 同じことを繰り返す

「ご褒美をやめた途端にやらなくなってしまったっていう研究もあります。なので、そうならないためにこの2つが同時に行われることが重要というのが過去の研究からわかっています」

これらの要素は、勉強習慣の形成にも応用できます。

例えば、勉強を始めるきっかけとして小さな報酬を用意し、同時に定期的に勉強する時間を設けることで、徐々に習慣化していくという方法です。

ただし、中室教授は注意点も指摘しています。

「お金で釣るのが逆効果になるようなケースも実はあります。例えば、悪い習慣をやめさせようとしてお金を使うと、かえって効果が出ないこともあります」