東京大学大学院と岡山理科大学の研究チームは、琉球列島の固有種であるケナガネズミの歯の傷からナメクジやドングリなど季節によって様々な硬さの餌を食べていることが明らかになったと発表しました。

東京大学大学院と岡山理科大学の研究チームは、琉球列島の固有種で国の天然記念物に指定されているケナガネズミについて歯の表面に残された細かい傷=「マイクロウェア」を分析しその食性を調査しました。

調査は、東京の国立科学博物館に収蔵されている奄美大島産のケナガネズミ20個体の頭の骨を使って行われ、調査の結果、季節によって歯の表面の傷が大きく異なることが分かったということです。

このことから春から夏には、ヤンバルナメクジなどのやわらかい餌を秋から冬には、リュウキュウマツなどの硬い餌を食べるなど様々な硬さの餌を食べていることが明らかになったということです。

▼東京大学大学院新領域創成科学研究科 久保麦野 准教授「骨から餌の固さという指標を通じてその地域のどういう環境が彼らにとって必要かっていうことを明らかにできるという点で非常に重要だと考えています」

今回の調査結果について研究チームは「観察が難しい希少種の有効な保全策を検討する上で重要」だとしていて東京大学の久保麦野准教授は「今後、同じ手法を用いて別の動物の生態系を明らかにし、琉球列島の生態系全体についての視座を深めていきたい」とコメントしています。

研究チームはこのほかアマミノクロウサギの骨組織を分析し、一般的なウサギ類に比べて約5倍の年月をかけてゆっくりと成長する可能性が高いことも明らかにしています。