内密出産を選んだ理由 9割以上「親に知られたくない」

小川彩佳キャスター:
東京に新たな“赤ちゃんポスト”設置、そして内密出産も開始されたことで、様々なリスクや課題が指摘されています。

ただ、今辛い思いをしている、追い込まれている母を何とかして救いたい、子供たちを守りたいという思いは、皆さん一緒なんだと思います。トラウデンさんいかがでしょうか。

トラウデン直美さん:
本当に困っていて、にっちもさっちもいかないという人たちにとって、東京にそういった場所が一つできるのは、新たな選択肢として大事なことだなと思います。

藤森祥平キャスター:
匿名で出産するという“内密出産”は熊本の慈恵病院では既に行われており、これまでに47人の赤ちゃんが生まれています。

母親に内密出産を選んだ理由を聞くと、9割以上が「親に知られたくない」という答えでした。性被害やDVなどのケースは例外的であって、10代や20代からの相談が多いそうです。

そして今、課題として挙げられている内密出産の費用について、熊本の慈恵病院は病院側が負担している一方で、東京の賛育会病院は原則本人負担であると発表しました。これについて、内密出産に詳しい千葉経済大学短期大学部の柏木恭典教授に話を聞きました。

柏木教授は、東京の賛育会病院の原則本人負担であることに理解を示しています。なぜかというと、1000人規模の東京の中、1か所だけで負担するというのは無理があるからです。とにかく今は、誰が負担するのかということを問いかけていくきっかけになったのではないか、という受け止め方をされています。

また、柏木教授は「法律がある国以外では寄付金を集めていて、日本で集まるかどうかは不透明」と話し、病院の取り組みについては理解を示しているということでした。

実際に運用が始まっても、賛育会病院はお金を払えない状態にはならないのではないかと柏木教授はおっしゃっていました。

トラウデン直美さん:
病院側は子どもの命を助けたいという思いで始めていることは間違いないです。ですが、ずっと無料でやっていくという形になって、病院側が経済的に難しくなってくると、それを見て始めようと思う病院もなかなか出てこないと思います。

病院一つが頑張るというよりは、社会全体でどういったサポートが必要なのかを考えていくべきかなと思います。