「託された子供たちを幸せに」求められる社会の仕組み

内密出産の費用はどうするか。

熊本の慈恵病院では病院が負担しますが、東京の賛育会病院では50万円ほどの費用が原則自己負担になります。その理由の一つは、病院のキャパシティを超えて、預け入れが殺到することを避けるためです。

しかし、国内で初めて内密出産を始めた慈恵病院の蓮田院長は、こう話しました。

慈恵病院 蓮田健院長
「失礼ながら懸念ではなく失望。女性たちからすると、『裏切られた』という気持ちになる。そこが一番問題。お金のことで、こういう方針を立てられるということは、例えば心のケアや、今後赤ちゃんをどうやって育てていくか、あるいは育てないか、いろんな相談をしないといけないが、それが女性たちの気持ちを汲むというよりも、彼女たちのことを考えてない」

慈恵病院のコウノトリのゆりかごに預けられた宮津晃一さんは、3歳から里親の家庭で育ちました。今回の取り組みを評価した上でこう話しました。

「こうのとりのゆりかご」 に預けられた 宮津航一さん(21)
「『預けられて良かった』というところで終わりではなくて、託された子供たちが幸せに暮らさなければいけない。病院だけでもいけない。行政だけでもいけない。社会だけでもいけない。それぞれが手を取って連携して、そういう仕組みが求められるんだろうなと思う」