「このままだと無理がある」賛育会病院が始めた取り組みと課題
親子を取り巻く現状は切実です。
2022年、北海道の千歳市で駅のコインロッカーから赤ちゃんの遺体が見つかった事件。殺人と死体遺棄の罪に問われたのは当時22歳の母親。
誰にも相談せず、たった1人でホテルの浴室で出産し、赤ちゃんを浴槽に沈めました。交際相手に金を要求されて働いていた風俗店で、客に暴行されたことが妊娠の理由でした。
こうした孤立出産の末に、乳児を遺棄する事件は後を絶ちません。

こども家庭庁の最新の調査によると、2022年度に虐待で亡くなった子供は心中を除くと56人。0歳児は25人で半数近くを占めていて、このうち9人は生まれたその日に亡くなっています。

今回、賛育会病院が始めた取り組みでは、赤ちゃんを保護した後、一定期間預かり、その後は児童相談所が中心となって、乳児院や里親に繋ぐということです。
この仕組みについて、都内の児童相談所の所長は、取材に対してこう話します。
都内の児童相談所 所長
「事情があって産めない人は確かにいる。人口が多い関東に赤ちゃんポストができるのはいいことだと思う」
一方で課題も指摘されています。
都内の児童相談所 所長
「施設の赤ちゃん受け入れ可能数は多くない。里親も、乳児を預かったことがない方にすぐ預けるのは難しい。このままだと無理があるのではないか。自治体間で協力する取り決めをした方が良かったのではないかと心配しています」