大雨などの災害が相次ぐいま、「事前避難」や「避難指示」、「避難生活」など、「避難という言葉が様々な場面で使われています。「避難」には多くの意味があり、「誤解を招いているのでは」という声が上がっています。
<筑波大学 梅本通孝准教授>
「我々の日常の中で避難という言葉が(こうあるべきと)しつこく刷り込まれ、放っておくといろいろな所で問題を引き起こしかねない」
10月8日、東京で開かれたシンポジウムです。「避難」という言葉は「わかりづらい」のではないか。災害情報を研究する専門家が議論しました。
<山口駿平記者>
「浜松市東区です。非常に強い雨と風が吹いています。道路は完全に冠水してしまっています」
静岡県内に台風15号が近づいていた9月23日の夜。SBSテレビは特別番組で、台風への警戒と避難を呼び掛けました。
<特別番組より>
「続いては避難に関する情報です。まずは警戒レベル4の避難指示が出されている自治体です」
テレビやラジオなどで使う「避難」という言葉。大阪の放送局でアナウンサーとして災害報道に携わった研究者は、課題が多いと指摘します。
<毎日放送 福本晋悟さん>
「例えば、台風がまだ本州に近づいていない状態でも、『念のため避難してください』と言うこともできますし、川が増水してきた時に『避難してください』と言えますし、決壊、はん濫した時も『避難してください』と言える。どんな時でも『避難してください』と使えてしまう、とても便利な言葉です。避難というのはオールラウンド ワード。比較的どこでも使える言葉ですが、オールマイティーではない。つまり『避難してくださいと』伝えただけでは目的を達していないということです」
「避難」は、いつでも使える短い言葉で便利だが、「どこへ」という具体性がなく、完ぺきではない。それにも関わらず、なぜ「避難」という言葉が様々な場面で使われているのか。シンポジウムに参加した専門家たちが意見を出し合いました。
<明治大学 小林秀行准教授>
「別に安全確保を使っても、退避という言葉を使っても同じようなことが表せると思うのですが、何で避難という言葉をわざわざ我々が選択しているのだろうというのが非常に大きな問題な気がします」
<メディア関係者>
「ここ数年なんですよね、テレビが特に避難という言葉を画面上で連呼しはじめたのは」
<防災科学技術研究所 永松伸吾主幹研究員>
「情報によって命が救えるのでは、という期待があって、退避という意味での避難が使われるようになったのが今の流れだと思う」
<当時の記者リポート>
「いま、周りが浸水して取り残されていた住宅から男性が一人救助されました」
2015年9月、茨城県の鬼怒川で発生した、はん濫による被害です。自衛隊や消防、警察などが救助した住民は4000人以上。多くの人が自宅などに取り残され、ヘリコプターやボートで「避難」しました。
<筑波大学 梅本通孝准教授>
「これだけの人が救助されたといううことは、逆にいうと、これだけの人が逃げ遅れたということで、避難対策という観点では最悪に近いケースだったのでは」
なぜ、逃げ遅れたのか。のちの検証では「避難所の開設準備が間に合わなかったから避難指示が遅れた」という市職員の証言があったといいます。別の専門家も問題提起します。
<東洋大学 中村功教授>
「逃げ遅れてボートで助け出されるのは避難じゃないですね。それから避難所で生活するのも別の言葉で考えたら分かりやすい気がします」
<東京大学 生産技術研究所 杉山高志特別研究員>
「避難所、避難場所に行くことに拘泥しない(固執し捉われない)様々な避難の仕方があり得るのではないか」
避難所に行くことだけが避難ではない。目指すべきは命を守ること。それは「避難」という文字にも表れています。
<日本災害情報学会 会長 片田敏孝東京大学教授>
「避難というのは読んで字のごとく、難を避けることであって、難を避けるためには留まることもある。要は自分で考えろということですよね、条件はみんな違うんだから。やはり日本の防災は行政主導で他者依存の防災対応になっているから、こういう言葉が次から次へと出さざるを得ないなかできょうみたいな議論になっているんじゃないかな」
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