小学校の学内順位が将来の学歴や年収に影響を与えることが、最新の研究で明らかになってきました。

慶應義塾大学の中室牧子教授によると、第1志望校の最下位よりも第2志望校のトップの方が、将来的に有利になる傾向があるそうです。
この背景には、「井の中の蛙」効果と呼ばれるメカニズムが関係すると考えられています。

学内順位は将来の成績に影響する

中室教授が紹介したのは、埼玉県の公立小中学校の学力調査データを用いた研究結果です。

「小学校の時に同じ点数だったとしても、学内順位が1位の児童のほうが、別の学校の学内順位が最下位だった児童よりも、中学校の数学のテストの偏差値が2.1から6.2高くなります。国語も3.1から6.2高くなっている」

五十棲浩二・伊藤寛武・中室牧子「日本における『小さな池の大魚効果』:校内順位の高さは学力向上をもたらすか」『日本経済研究』80号、57-85頁、2022年

この研究結果は、学校内での相対的な順位がその後の学力向上に大きな影響を与えることを示しています。

「井の中の蛙」は悪くない

中室教授は、この現象を「井の中の蛙」効果が関係していると考えています。

「周囲の学力が自身と比べあまり高くない学校で、自分が学年順位が1位になった子は『私はやればできるんだ、もっと頑張ればいいんだ』っとなって、勉強にどんどん投資をしていくようになるので、次のラウンドで測った学力や、あるいは進学先で有利になっている」

つまり、自分の周りの小さな環境の中での相対的な比較が、学習意欲や自信に大きな影響を与える可能性があるということです。

逆に、非常に優秀な生徒が多い環境で最下位になると、自信を失ってしまう可能性があります。