高額な献金で多くの人に損害を与えたなどとして、東京地方裁判所は、25日に旧統一教会に対して解散命令を出しました。専門家は、今後も教団の動向に注意が必要だと話しています。

旧統一教会をめぐっては、文科省が2023年に高額な献金などについて、解散命令の要件を満たすと判断し、解散命令を出すよう東京地裁に求めていました。

東京地裁は25日に「信者により行われた不法行為に該当する献金勧誘行為で膨大な規模の被害が生じた」と指摘。「法人格を与えたままにしておくのは、極めて不適切」だとして、旧統一教会に解散命令を出しました。

教団側の弁護士は「法治国家としてあり得ない」と批判し、教団側は、東京高裁に即時抗告することを検討中と発表しました。

阿部航介記者:
「旧統一教会の仙台の教会です。解散命令が出された後も周辺はひっそりとしています。扉は閉められていて、中の様子をうかがい知ることはできません」

仙台市宮城野区にある教会には、ときおり中に人影が見られたものの、特に目立った動きはありませんでした。tbcは仙台の教会に対し取材を申し込みましたが「すべて本部が対応している」として断られました。

旧統一教会の元信者、竹迫之さん:
「これが始まりなので、命令が出たから感慨を新たにしたということはない。司法のお墨付きがついたという意味では大きな前進だが、実務的にはこれからが課題」

こう語るのは、教団の元信者、竹迫之さんです。竹迫さんは、17歳のときに入信し、数百万円の献金を集めた経験があり、いまは被害者を救済する活動をしています。解散命令で被害者の苦しみがなくなるわけではないと訴えます。

旧統一教会元信者、竹迫之さん(58):
「普段から関係を持っている2世の方と、解散命令が出たことは歓迎するが、世間的にこれで問題が終わったと誤解されるのは辛い。全然終わりではないと広く訴え続けなきゃいけないんだ、と(話した)」

一方、宗教学が専門でカルト宗教に詳しい東北学院大学の川島堅二教授は「解散命令で信者らによる勧誘活動がより活発になる恐れがある」と指摘します。
東北学院大学 川島堅二教授:

「信者たちは『自分たちに非があったからこういうことになった』とは発想しない。むしろ『自分たちが本物だから、正しい宗教、真理だから、この世は強烈な反対をしてくる』と。『サタンの働き』と変換すると思う。このことがあったからと言って、彼らの活動の動機が弱まることはなく、むしろ動機が強まる」
今後、懸念しているのは、『正体を隠した勧誘活動の増加』です。

東北学院大学 川島堅二教授:
「ボランティアやスポーツサークル、文化団体、そういう形でアプローチをして、十分親しくなってから正体を明かしていく。今までもあったが、今後その傾向が強まると思う」