■SUP練習なしで使用は危険

良原キャスター:
こういう事故に遭わないために、SUPを楽しむためにいろいろ盲点を見ていきたいと思います。どんなところに注意しながら楽しめばいいんでしょうか? 改めてこのSUPは、とても手軽で気軽に楽しめるスポーツなんです。ですので、SUP“お花見”やSUP“ヨガ”というプランも出ています。SUP経験者によると、初めてでも数分でボートの上に立てて、気軽に楽しめるということです。

さらにSUP用のボートは、ネット上で簡単に購入ができます。値段は約3万円から5万円ほどです。ただ、日本セーフティパドリング協会の山口さんによりますと、SUPは気をつけないと大事故に繋がるということです。「初心者による事故は多い。最初はインストラクターをつけるなどして操作方法や風・波の基礎知識を学んでおくことが大切」といいます。

■SUP事故 10月に多い理由

その風がSUPで事故に遭う危険性を高めてしまうということです。風速5m以上になると、自力で戻れなくなって遭難する可能性が高くなってしまうということなのです。具体的に、風速5mはどれくらいの風の強さなのかを「こいのぼり」で表してみます。
こいのぼりが、そろそろ泳ぎだしそうなくらいが風速5メートルです。木の葉や枝が絶え間なく動いているような強風ではないけれども、風が吹いているなという状態ですと、危険が高まるということです。ではなぜ、風が強くなるとSUPの事故の危険性が高まるのか。元海上保安庁の遠山さんに伺いました。「体が帆のかわりになり、風にのると、沖に向かってあっという間に数百メートル進んでしまう」ということ。自分の体が帆の役割を果たすんだそうです。ですので、風に逆らって移動させるのは困難です。風に流されているなと自覚を感じましたら、帆にならないように座ってくださいということでした。

そして10月は、特に事故に注意だということです。2021年の10月は、7月と並んで最も事故が多い時期だったといいます。というのも、10月になると太平洋側では陸から沖に向けて吹く風が強くなるので、特に注意が必要なんだそうです。

■SUP事故 もしも落ちたら…

そして風に加えて、当然波が高いと危険が高まります。波がある状態は、バランスを取るのが難しくなります。もし水に転落してしまったら落ちてしまったら、元海上保安庁の遠山さんは「長時間水に浸かっていると体温が奪われて危険。なるべく早くこのボートの上に戻ってほしい」とおっしゃいます。

しかし、簡単にはボートに戻ることはできないようです。SUPボートはつるつるしていて、つかまる場所が少ないそうですね。なので、上に戻ることが難しいと。

元海上保安庁の遠山さんは「あわてて上がろうとすると、体力を奪われる危険。上がれないと思ったら、ボートを浮き輪代わりにして水中で救助を待ってほしい」と、とにかくこのボートから離れないようにしてほしいということでした。

井上キャスター:
ツアーの会社によっては、絶対にスマートフォン持って行ってくださいと言われるところもありますけど、1回流されたなと思ったら、もうできることないですね。自分で泳ぐのも危険ですね。

スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
やれることがないと思ったときには、最後にあったようにできるだけ体力を使わないと教わりました。泳げるからといって無理して泳ごうとしたり、一生懸命上がろうとしたりするのではなく、とにかくじっと待つ。おそらく遭難した女性もじっとしていたことが、もしかすると長い時間ちゃんと待っていられた要因かもしれないですよね。

ホランキャスター:
予測のつかないことが起こりうると思いますが、楽しいスポーツではあるので、しっかり対策をしてエンジョイしていただきたいと思います。