オウムの子どもたち 90日間で“変化”

一時保護から約1か月後、警察は教祖・麻原彰晃、本名・松本智津夫元死刑囚を逮捕。すると、徐々に子どもたちに変化が現れます。教祖だけを見ていた目が、他の人にも向けられるようになったのです。
元県中央児童相談所職員 保坂三雄さん
「遊びの風景もみんな(以前は)別々、自分勝手に遊んでいたんですよ。それが段々グループになってきた。職員に対して前は呼び捨てだったんですけれど、そのころから『先生』というようになった」
変化は、日記にも。
子ども
「きのうははなびをやっておもしろかった」
「きょう作文をかいた絵もかいた」

6月に入ると、子どもたちは社会復帰のため県外の施設へ順次移送。7月12日、最後の1人が保護所を去ります。

元県中央児童相談所職員 保坂三雄さん
「(最後の1人は)もう変わりましてね。友好的でふるさとの話をいっぱいしてくれました。若い職員に『俺のうち遊びに来いよ』なんて誘ったりしていましたね。本当にみんなに祝福されて帰っていった。あれが一番いい場面でしたね」
53人の子どもたちは、いま30~40代となりました。
元県中央児童相談所職員 保坂三雄さん
「彼らはオウムの犯罪に全く加担していない。第10サティアンに閉じ込められていたんですから。虐待をされていた被害者なんですね。だからオウムの人たちの犯罪に対する罪悪感を一緒に背負っていく必要はない」

「オウムにかえせ」と綴っていた子どもの最後の日記。
「あしたかえります」(6月11日)
最後の一文は、書いて、消されていました。
元県中央児童相談所職員 保坂三雄さん
「『さ・よ・う・な・ら』でしょうね。消すっていうことは(さようなら)を否定をするニュアンスですよね。だから『さよなら』したいんだけれど、『さよなら』をしたくないような気持ち。親に会うことはとても嬉しいけれど、ここを去るのはさみしい、もったいない、そういう気持ちがあるかもしれない。そういうふうに解釈できるかもしれないし、解釈したいなという気持ちがありますね」















