ことしは戦後80年です。戦争体験者が高齢化で減少するなか、富山大空襲の記憶を語り継ぐ3世代の家族がいます。高校生1年生の孫が「戦争を忘れさせない」と祖父が体験した記憶、そして平和への願いを継承しています。
3月7日、富山市の中学校で行われた出前講座です。
「富山大空襲を語り継ぐ会」のメンバーであり、当時10歳で空襲を体験した佐藤進さんが、富山を襲った爆撃の凄まじさを伝えました。

富山大空襲の語り部 佐藤進さん
「『川へ飛び込めー』という声がどこからか聞こえました。私と兄はそこまで持ってきていた教科書だとか大事なものを入れたかばんを置き去りにして近くの川に飛び込んだんです」

1945年8月2日未明の富山大空襲。米軍爆撃機・Bー29が富山市の中心部に50万発以上の焼夷弾を投下。市街地の99.5パーセントが焼失し、およそ3千人の命を奪いました。これは空襲を受けた地方都市では最悪の被害でした。

佐藤さんは来月で90歳。これまで2万人以上に戦争の残虐さを伝えてきた現役の語り部です。戦争体験者の高齢化や死去などで語り部は年々減少。戦時中の記憶に直接触れることができるのは、子どもたちにとって貴重な機会です。
