静岡県で起きたバスの横転事故は、ブレーキを踏み続けたことによる「フェード現象」が原因となった可能性が指摘されています。
乗用車でフェード現象が起きる危険性はないのでしょうか。
13日、静岡県小山町の「ふじあざみライン」で観光バスが横転し、74歳の女性が死亡、35人が重軽傷を負った事故。過失運転傷害の疑いで逮捕されたバス運転手の男は「ブレーキが利かなくなった」と供述しています。
今回の事故では、下り坂でブレーキを踏み続けたことによる「フェード現象」が起き、事故につながった可能性があるとみられています。
私たちが普段乗る乗用車で、フェード現象が起きる危険はあるのか。
名古屋市昭和区の教習所に聞いてみました。
まずは、記者が実際に運転してみます。
(教官)
「このあと長い下り坂が続くので、アクセルペダルを戻していきましょう」
(記者)
「アクセルペダルをはずしても、下り坂なので逆にどんどん加速していきます」
(教官)
「では、より強いエンジンブレーキを得るために『Bレンジ』に入れてみてください」
(記者)
「減速していって、ちょっと抵抗を感じますね」
(教官)
「そうですね。それにフットトブレーキを使いながら下りていきましょうか」
車は足でペダルを踏む「フットブレーキ」のほかに、エンジンの回転の抵抗を利用した「エンジンブレーキ」でスピードを落とします。
フェード現象とは、エンジンブレーキを使わずフットブレーキを踏み続けることで部品が熱を持ちブレーキが利きにくくなる現象です。
(中部日本自動車学校 加藤大輔さん)
「(フェード現象は)トラックですとかバスなど、荷物や人をたくさんのせた重量のある車がなりやすい」

教習所によりますと、車の性能の向上で一般的な乗用車ではフェード現象は起きにくくなったといいますが、山道などで下り坂が続く場合には、安全性を高めるため乗用車もシフトダウンして、エンジンブレーキを利かせるように教えているということです。
万が一に備え、自動車学校で教えられたことを、あらためて思い出すことが大切です。