賃上げに企業も努力、福利厚生を取り入れる企業増

齋藤キャスター:
賃上げに企業も努力をしているということで、具体例を挙げていきます。

まず、初任給の引き上げです。▼大和ハウスの2025年度の初任給は最大35万円で、これまでと比べると10万円アップしました。

また、▼東京海上日動火災保険の2026年度の初任給は最大で約41万円と、これまでより13万円多くなるということです。

他にも実質手取りを増やす“新しい賃上げ手法”があり、福利厚生を取り入れる企業が増えているといいます。

たとえば▼ダイナミックマッププラットフォームという地図の会社は、食事補助(チケットレストラン)で月3500円、語学学習補助で年6万円、レジャー割引などがあるということです。

人事部長の樋口さんは「福利厚生は企業の税負担も抑え、従業員の実質手取りも増やせるので助かっている」と話します。

こうした福利厚生を提供する会社の契約数は、2021年から比べると、2025年3月は7.3倍増えているということです(エデンレッドジャパンによる)。

一方、従業員の退職によって倒産してしまった会社が2024年は87件と、過去最多になりました(帝国データバンクによる)。

理由としては、収益力が乏しい中小企業では待遇改善ができずに人材が流出してしまっており、賃上げ難倒産が増加する可能性も高まっているそうです。

井上キャスター:
東京海上日動火災保険は最大で約41万円に初任給を引き上げるといいますが、採用人数の縮小などはないのでしょうか。

経済評論家 加谷珪一さん:
基本的には、ただ人件費が増えるということです。今は金利が上がっているため、銀行や、東京海上日動火災保険のような保険会社は収益が拡大します。

また、大和ハウスはもともとハウスメーカーですが、デベロッパーとしての事業のほうが多いです。今は不動産価格や家賃が上がっている分、業績が比較的いいというのも、初任給アップの背景にあるのではないでしょうか。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
僕と井上キャスターは一緒の歳ですが、我々が就職活動をしていた時期から、大卒初任給といえば20万円ぐらいが相場でした。それが何十年と続いていたので、やっとこれだけ動き出したのは嬉しいニュースだと思います。

良原安美キャスター:
そういう意味では中小を目指す若者が減ってしまい、どんどんみんな大企業を目指しますよね。

経済評論家 加谷珪一さん:
これだけの賃金になってしまうと、やはり格差が広がっていきます。できるだけ早く、全部の企業に賃上げが波及するような政策も必要なのではないかと思います。