岩手県大船渡市の山林火災は、全ての避難指示がきのう、解除されました。しかし、14年前の東日本大震災と今回の火災による深刻な「二重被災」となっています。現場から中継です。

大船渡市の三陸公民館の避難所に来ています。最大で300人以上が避難していた避難所には現在、およそ30人が身を寄せています。ほとんどが山林火災で家を失った人だといいます。今回の山林火災では住宅102棟が焼け、このうち76棟は全壊でした。

今回、家を失った人の中には、14年前の東日本大震災の津波で一度、家を失った人もいるということです。市は、県に仮設住宅の整備を要請していて、市内2か所に合わせて40戸が建設される見込みです。

大船渡市での仮設住宅建設は、東日本大震災のとき以来です。また、地域の産業でも二重被災の現状が見えてきました。

避難指示の解除から一夜明けた大船渡市の綾里漁港では、漁師たちがさっそく動き始めていました。湾内のワカメの養殖施設に絡まった流木を回収してきたのは、漁師の大平秀男さんです。長さ3メートルほどの木は山林火災で真っ黒に焼け焦げていました。

大平さんは14年前の東日本大震災でも、船やワカメの養殖施設に大きな被害を受けたといいます。

漁師 大平秀男さん
「(震災では)全て流されちゃったんで。全然、何もできない状態でしたね。本当に何もないですね。そっか、きょう3.11ですもんね、14年前ですね」

東日本大震災から復興した漁業施設は、今回の山林火災で定置網の倉庫や資材小屋などが焼ける被害が確認されています。

例年であれば、まもなく特産のワカメの収穫が始まる予定で、地元の漁協はあす、組合員が協議して今年のワカメ漁の方向性について決めるということです。

東日本大震災の発生からきょうで14年となりました。例年であれば、きょうは地域が鎮魂の祈りに包まれる日ですが、今年は状況が一変しています。