ボランティアで地域を支える80歳の男性を紹介します。樹木の剪定や電球交換など困りごとを無償で解決しています。
精力的に活動するそのわけとは?

内閣府が自由で生き生きとした生活を送る高齢者を表彰する「エイジレス章」の伝達式です。

県内の受章者は実に8年ぶり。
笛吹市御坂町に住む上野正明さん、80歳です。

上野正明さん:
俺がもらうべき章ではない。何十人という仲間がいて、その方たちが俺の心に対して動いてくれるわけ。その人たちにむしろお祝いをしてあげたい。

上野さんは7年前から地元の老人クラブの会長を務めています。

最初に取り組んだのは認知症の症状や予防策などを紹介する講座でした。

上野正明さん:
たまたま嫁さんがガンで入院しているときに認知症に長けている女性に会いましてね、その方の講座が素晴らしかったものだから、この方の話を大勢の人に聞かせてあげたい。そうしたらどれほど大勢の人が助かるかわからない。


この講座は上野さんが幅広い活動を始めるきっかけとなりました。
上野正明さん:
講座を開いている間に、色んな相談を受けるわけですよ。「上野さんこういうことを手伝ってもらえないか」とか、「こういうことは何とかならないか」って。

そして上野さんは、囲碁や将棋などを行う脳トレ塾やグランドゴルフなど様々なイベントの企画運営に取り組むことになりました。


さらに。車乗り込む軽トラックを運転し、向かったのは・・・。
大塚郁弥記者:
きょうやる作業はどういう作業?
上野さん:
庭の草を取ってあげることと手が届かない高木を短くする。そういう作業です。

15人ほどの地元の人と一緒に3年前に立ち上げたボランティア団体「みさかチョットお役にたちたい」の活動です。

高齢者の身の回りの困りごと解消が活動の目的です。

依頼した高齢の女性:
それはもう助かってます。年齢的にもエラい年だからね。
上野正明さん:
1週間に3日から4日はボランティア、2日か3日は自分の仕事。土曜も日曜も休んだことないよ。定休日ってないんだから。


活動的な上野さん。背景には母親の教えと恩返しの気持ちがありました。

上野正明さん:
母親がいつも私に諭してくれたのが、まず「あったかい人間にならなきゃだめだよ」ってずーっと言われてきたの。私の父の代で、仕事(建設会社)が倒産しちゃって大変な借金を抱えて大勢の方に迷惑をかけたわけ。


上野さんが27歳のとき、父親の会社が経営破たん。
その後、設備の会社を立ち上げ28年かけて借金を完済しました。
このとき返済を待ってもらうなど周りの人の優しさに救われたといいます。

上野さん:
それから本格的に恩返しというかボランティア活動を始めていくわけです。
80歳になった今でも上野さんは新しい目標に向かっています。

上野正明さん:
娘に「もうこれだけやったから ぼつぼつ終わろうか」って言ったら、「90歳までは頑張って。それがお父ちゃんの今生の使命だから」って、そういわれまして。あと10年は頑張っていこうかってそう腹を決めたんです。


上野さんはきょうも地域の困りごと解決に向き合っています。