国が2024年に公表した有機フッ素化合物=PFAS(ピーファス)の健康リスクに関する評価書について、“市民科学” の視点から環境問題などの解決を目指す東京のNPO法人が3日会見し、評価書は作成過程で7割以上の参考文献が差し替えられていて科学的合理性を欠くとした検証結果を発表しました。
内閣府の食品安全委員会は2024年に初めてPFASの健康リスク評価書を公表し、1日に摂取しても健康に影響がないPFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の量について、体重1キロ当たり「20ナノグラム」と設定していました。
会見したNPO法人「高木基金」のPFASプロジェクトによると、この耐容1日摂取量20ナノグラムは、米国基準と比べて200倍から666倍高い数値です。
またこの評価書についてPFASプロジェクトは、当初参考文献として選定されていた257の論文のうち7割以上が、評価の過程で経緯の説明なく差し替えられているほか、元の論文とは異なる内容で引用したり、PFASを製造する業者が資金提供した報告書を追加したりしているなどと指摘しました。
そのため評価書は科学的合理性を著しく欠くと批判し、PFAS健康リスク評価は再検討が必要だと訴えています。
こうした指摘について食品安全委員会の担当者はRBCの取材に応じ、「国側の意向による論文差し替えは行っていない。ワーキングチームに参加した専門家らが議論をした結果で適切に対応している」とコメントし、恣意的な論文差し替えを否定しました。
