ドイツではあす、総選挙が行われます。これまで寛容だった移民・難民の受け入れが厳しくなる可能性が高まっていて、難民らは複雑な思いを抱えています。
首都ベルリンに住むアル・オスマンさん(31)。シリア難民です。「移民問題」が争点の一つとなる今回の選挙に不安を募らせています。携帯で検索したのは移民排斥を掲げる極右政党「AfD」の代表。
シリア難民 アル・オスマンさん
「(彼女は)私たちのことが嫌いで、道で会ったら、変な目で見る人にそっくりです」
オスマンさんは、11年前にシリアを脱出、ドイツで難民として認められ、ドイツ国籍を取得しています。
シリア難民 アル・オスマンさん
「ドイツ語を学び、国籍も取り、(シリア人の)妻は職業教育も受けました。全てを捨てて、シリアに戻りたくはありません」
極右政党「AfD」は難民審査を厳しくし、ドイツ国籍は純粋なドイツ人だけにと訴えます。
極右政党「AfD」 アリス・ワイデル共同代表
「私たちが安全に暮らすためには移民らを送り返す必要があります」
とりわけ、「シリア出身者は送還する」などと過激な主張を展開しています。
記者
「AfDが一般の家庭に投函したチラシは、航空券のような形をしていまして、乗客名は『不法移民』。目的地は『出身国』と書かれています」
こうした人種差別ともとれる行為はナチス的思想だとして、ドイツ国内で批判はあるものの、世論調査では2位につけ、あすの選挙では躍進するとみられています。
一方、世論調査で支持率トップに立つ、最大野党の保守政党「CDU」のメルツ党首も…
保守政党「CDU」 フリードリヒ・メルツ党首(先月)
「ドイツへの不法移民の流入と難民の不法滞在に対して、ようやく効果的な決断を下すときが来ました」
難民の受け入れ制限を政府に求める決議案をAfDと協力して可決させました。
ドイツでは“タブー”とされた極右との協力に、劣勢に追い込まれている与党のショルツ首相はテレビ討論会で「民主主義の終わりだ」と痛烈に批判しました。
ショルツ首相
「あなたはなぜこんなにバカなのか。はっきり言おう、あなたはなぜこんなにバカなのか」
シリア難民 アル・オスマンさん
「あっち側の店は全てアラブの店です」
今やドイツでは移民をルーツを持つ人が人口の3割を占めるなど、社会に溶け込み経済も支えています。
オスマンさんは、「難民は悪」という偏った主張は間違いだと訴えます。
シリア難民 アル・オスマンさん
「全ての人が平等に扱われることを望んでいます」
ドイツの移民政策の大きな転換点になるのか…選挙結果が注目されます。
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