商業施設が多く立ち並ぶ那覇市新都心地区。その一角に国指定史跡「銘苅古墓群」があります。2003年までに発掘調査は終え新都心地区の開発が進みましたが今回、工事現場から新たに古墓2基が見つかったことがわかりました。

那覇市によりますと、去年10月、那覇市銘苅のスーパー建設予定地で、業者が柱を打ち込む作業をしていたところ、地下3メートルほどの場所から2つの古墓を見つけました。2基のうち、1基は沖縄戦当時のものとみられる銃弾の痕がみられ、入り口付近で1942年に発行された五銭銭貨と近代の壺屋焼が見つかりました。もう1基でも15世紀ごろのものとみられる陶器や厨子甕の破片が見つかっています。

今回2基が見つかった銘苅古墓群の一帯は、県内の埋葬文化を後世に残す貴重なものとして、沖縄で初めて古墓として国の指定史跡に登録されています。

市によりますと、今回見つかった2基は調査を終えて、既に砂で埋め戻されているということです。

29年ぶりとなる新たな古墓の発見に、県立博物館・美術館の山本正昭主任学芸員は、「地中に琉球王国時代の沖縄が残っていた」「今回令和になっても見つかるというのがなかなか衝撃を受けた」と歴史的価値を強調しました。

山本さんは、近年、開発工事中に史跡が偶然掘り起こされる事例も増えていることに期待感を抱く一方で、その保護には大きな課題があるとしています。

山本正昭主任学芸員
「本来であれば文化財というのは公開されるべきものだが、その一方で安全対策も確保されないとなかなか一般の人に見てもらうということは難しいというジレンマが常にある」

特に今回のように街中で見つかった場合、市民の生活環境への影響や安全対策の観点から、最小限の調査を終えて埋め戻されるケースが多いのが現状だということです。