香川県高松市で、母親が自宅の押し入れに赤ちゃん3人の遺体を遺棄し、うち1人を殺害した罪に問われている裁判員裁判が、2月に高松地裁で開かれました。
殺人と死体遺棄の罪に問われたのは、高松市の元風俗店従業員の母親Aさん(36)です。
起訴状によりますと、Aさんは2018年からおととしにかけて出産した3人の男児の遺体を、それぞれビニール袋に入れ自宅に放置していたほか、2人目に産んだ男の子の鼻や口を濡れたタオルで覆い、窒息死させたとされています。
Aさんは起訴内容を認めていて、量刑が裁判の争点となりました。
自宅で赤ちゃんを一人で出産 遺体をビニール袋に入れ押し入れに
男児Bを死産
Aさんは、平成30年12月上旬ごろ、自宅で赤ちゃん(男児B)を死産したといいます。風俗店の勤務で妊娠したとみられ、父親は不明です。
Aさんは、葬祭など必要な手続きをとらず、ごみ袋などのビニール袋に入れ、押し入れに入れて積み上げていました。
男児Cを出産し殺害
令和2年4月11日、自宅で赤ちゃん(父親不明 男児C)を出産。赤ちゃんポストに預けることを考え、熊本への往復交通費と当面の生活費を確保していたといいますが、出産後、予想外に体力が低下し、電気代を支払うために交通費を切り崩したため、熊本行きを断念。
Aさんは、育児をしながら風俗店の勤務を続けるのは無理だと考え、また、押し入れの遺体が発覚することをおそれて行政に相談しようとせず、買い置きのおむつがなくなるまで育てたうえで殺害することを決意したといいます。
Aさんは、母乳をしみこませたタオルで赤ちゃんの顔を覆って殺害し、遺体は、男児Cと同様に押し入れに入れました。
男児Dを出産し男児は死亡
令和5年6月28日、Aさんは、勤務先で接客後、父親不明の赤ちゃん(男児D)を一人で出産しました。産後、力尽きて意識を失い、目を覚ますと赤ちゃんは死亡していたといいます。
Aさんは、遺体を自宅に持ち帰り、他の2人の赤ちゃんの遺体とともに令和6年2月14日まで押し入れに放置していました。

裁判で、検察側は、「押し入れの遺体発覚をおそれ、行政を含めた周囲に相談することを拒み、殺害を決意実行した」などと主張しました。
一方、弁護側は「狭く短絡的な思考に、障害特性の影響がある。孤立出産し、身体的・精神的に追い詰められていた」などと述べました。

















