国が定める被爆地域の外で被ばくした「被爆体験者」が被爆者手帳の交付を求めている裁判の控訴審第一回口頭弁論が18日福岡高裁で開かれ、原告側は放射線が含まれていたのは雨だけだとした長崎地裁判決に反論しました。

この裁判は、爆心地から半径12キロ圏内の被爆未指定地域にいた「被爆体験者」と呼ばれる人たちが、雨や灰、大気に含まれていた放射性微粒子により被ばくしたとして被爆者と認めるよう求めているものです。

最初の提訴から17年。最大550人を超えた原告は、最高裁での敗訴をへて44人となり、うち5人が死亡。死亡原告1人の遺族が控訴せず原告43人での控訴審となりました。

原告・山内武さん
「亡くなった仲間が背中に乗っております。最後までやろうと思ってますので、宜しくお願いします」

原告団長・岩永千代子さん
「雨と灰が別だということで(一審で)敗訴しましたけども、全く不可解」

一審の長崎地裁は、当時の風下にあたる旧矢上、古賀、戸石村に放射線を含んだ「雨」が降ったと初めて認定。

原告44人のうち15人を被爆者と認める判決を言い渡しましたが、多くの原告が訴えた「灰」には放射線は含まれていないと区別しました。

被告の長崎県、長崎市と原告双方が控訴し迎えた18日の第一回口頭弁論には原告9人が出廷。岩永千代子さんと山内武さんが意見陳述を行いました。

岩永さんは、放射能のことなど知るはずもなかった原告たちが灰に触れて遊んだことや、その後、健康被害を被った事実を語り、放射性微粒子による被ばくを認めるよう訴えました。

また、原告弁護団は一審の長崎地裁が「精度が劣る」として放射性降下物が降った証拠として採用しなかった1945年のアメリカ軍の残留放射線調査について、去年、原爆投下時に原告がいた地域で測定した自然放射線量などから「信頼できる」と判定。「アメリカ軍の調査では、原告がいた全ての地域から放射線が検出されている。雨だけでなく、灰や大気にも放射線が含まれていたのは明らかだ」として、雨と灰を区別した長崎地裁判決に反論しました。

原告側の弁護団
「広島高裁は一応受け入れているわけですから、そこのところをですね、裁判所にはきちんと理解してもらう必要がある」

次回弁論は4月21日で、原告は、長崎からリモートで参加する予定です。