■ウクライナの団体も「この賞は戦争時のウクライナが注目されることに役立つ」

そして、ウクライナ側で受賞したのは人権団体『市民自由センター』です。

ノーベル委員会
「『市民自由センター』はウクライナ国民に対するロシアの戦争犯罪を特定し、文書化する取り組みに従事した」

ノーベル委員会は団体に受賞を伝える様子を公開しました。


ノーベル委員会
「おめでとうございます」

団体
「素晴らしいです、ありがとうございます」

ノーベル委員会
「喜んでもらえたようで何よりです」

『市民自由センター』は2007年に設立。軍事侵攻を続けるロシアの戦争犯罪を記録するほか、人権活動家やジャーナリストらが失踪したとする事例をオンライン上で地図にまとめています。

2022年2月の侵攻後、ロシアが占拠した街では多くの市民の遺体が見つかっています。最近ではイジュームやリマンでも集団墓地が見つかるなど、ロシアの戦争犯罪が疑われる事例が相次いでいます。


市民自由センター
「我々はこれまでに2万件以上の戦争犯罪を記録しており、これは全ての加害者を罰するために行っています」

ウクライナの人たちはどう受け止めたのでしょうか。


ウクライナの市民
「これはすごい!ウクライナにノーベル賞とは本当にすごい」
「私たちは自分の国、市民社会を誇りに思っています。この賞は戦争時のウクライナが注目されることに役立ちます」


ウクライナの市民
「正直言って今は賞を取る時期ではありません。まずは戦争を終わらせる必要があります」

■3か国の受賞は「ロシア政府、ベラルーシ政府に“ノー”を突きつけた」


ウクライナ・ロシア・ベラルーシと、まさに戦争に関わる3つの国の関係者が受賞した2022年のノーベル平和賞。専門家はこう指摘します。

慶應義塾大学(ロシア政治) 廣瀬陽子教授
「ロシアの残虐な行為、非合法な行為は許さないという、強いノーベル団体の意識が感じられるものと思われます。ロシア政府、ベラルーシ政府の行動に“ノー”を突きつけたということでもあります。これもウクライナにとっては非常に嬉しいニュースだと思います」