2022年のノーベル平和賞はウクライナの人権団体、ロシアの人権団体、ベラルーシの人権活動家に共同で授与することが決まりました。「戦争犯罪や人権侵害、権力の乱用を記録してきたこと」などが受賞理由です。
■ウクライナ侵攻に関する“3つの国”から平和賞 収監中の人権活動家も
日本時間の10月7日午後6時過ぎ、ノルウェー・オスロで発表されたのは…
ノーベル委員会
「今年の平和賞は、ベラルーシの人権擁護団体のアレシ・ビャリャーツキ氏と、ロシアの人権団体『メモリアル』、ウクライナの人権団体『市民自由センター』に授与される」

2022年のノーベル平和賞に、ウクライナ・ロシア・ベラルーシの2団体・1個人が共同で選ばれました。受賞理由についてノーベル委員会は・・・
ノーベル委員会
「彼らは戦争犯罪や人権侵害、権力の乱用を記録するために多大なる努力をしてきた。彼らは共に平和と民主主義のために、市民社会が重要であることを示している」
選ばれた2団体・1個人は、現在も続いているロシアのウクライナ侵攻に関係する3つの国々です。

アレシ・ビャリャーツキ氏はロシアの友好国であるベラルーシで、1980年代に起きた民主化運動のリーダー的存在。政治犯に対する当局の拷問を記録し、抗議するなどの活動を続けてきました。
2021年6月、ベラルーシの治安部隊について次のように批判していました。
アレシ・ビャリャーツキ氏
「このやり方はベラルーシの治安部隊がよく使う。社会活動家が拘束され殴られて、おびえた後に証言されられ、やっていないことを自白するよう強制される」
しかし、2021年に逮捕され現在もベラルーシの刑務所に収監されています。
10月7日夜、ビャリャーツキ氏の妻が番組の取材に応じました。
ビャリャーツキ氏の妻 ナタリヤさん
「私は夫に電報を送ったが、彼がそれを受け取ったかは分からないです。受賞はもちろん嬉しいです。彼の活動、彼の生涯が評価されました」
ノーベル委員会は次のようなメッセージを出しました。

ノーベル委員会
「私たちのメッセージはベラルーシ当局にビャリャーツキ氏を解放するよう求めるものであり、これが実現し、彼がオスロにやってきて、彼に与えられた名誉を受け取れることを望んでいる」
■2021年に解散命じられた…ロシアの人権団体も受賞

ノーベル平和賞に選ばれた、ロシアの人権団体『メモリアル』。冷戦最中の1990年前後に設立され、ソ連時代の人権弾圧などを記録する活動で知られています。
2015年、ロシア当局からスパイを意味する「外国の代理人」に指定。ロシア最高裁は2021年12月、解散を命じる決定を出しました。

元ソ連大統領のゴルバチョフ氏は2021年、ノーベル平和賞に選ばれたロシアの独立系メディア編集長のドミトリー・ムラトフ氏と共に、解散に反対する共同声明を発表。
反対した理由についてゴルバチョフ氏は生前、JNNとの書面インタビューの中で次のように説明していました。

ゴルバチョフ氏(JNN書面インタビューより)
「『メモリアル』は抑圧の時代に殺害され負傷した、何十万人もの人たちに関する歴史的記憶を掘り起こし、現在や将来に二度と起きないようにすることを目的としています。『メモリアル』の活動を続けることは、社会と国の利益に一致します」
ロイター通信によりますと、ノーベル平和賞の受賞決定について『メモリアル』の幹部は…
メモリアル幹部
「団体は解散させられており、新たな場所で活動するロシアの同僚を勇気づける」

奇しくも10月7日はプーチン大統領の70歳の誕生日です。
ロシアによるウクライナ侵攻を非難するともとれる、人権団体『メモリアル』のノーベル平和賞受賞決定にモスクワ市民は…
モスクワ市民
「正直何も考えてない。それに対して何を言えばいいのかわからない」
「ノーベル委員会はロシア国内で権威ではなくなり、かなり信用を失ってしまったので、それを真面目に受け止める人はいません」














