全国で深刻化する空き家問題。高知県内でも、これまで毎年2千戸のペースで増加していて、今後も増え続けることが予想されます。放置された空き家は持ち主と地域にとってさまざまなリスクとなることから県では、各市町村と連携しながら様々な対策をすすめています。
高知県住宅課の空き家対策チームです。

(県空き家対策チーム 佐々井愛美さん)
「県内には使用目的のない空き家がおよそ5万戸あります。これは県全体の住宅に占める空き家率でいうと全国ワースト2位の状況です」

人が住まなくなった家はあっという間に傷み、維持や修繕費用などの諸経費がかかります。空き家が動物の住みかになったり、草木が伸びて隣の家に迷惑をかけたり、火災や盗難の被害など、空き家のリスクはさまざまです。空き家は放置せず、早めに【しまう】、または【活用する】ことが重要です。


(県空き家対策チーム 佐々井愛美さん)
「家の行く末には主に5つの選択肢があります」

(県空き家対策チーム 佐々井愛美さん)
「まずは『売る』。メリットは完全に人の手にわたるので、面倒なことを考えなくてもいい点ですが、希望額どおりに売れるかや、売れる保証がないなどのデメリットもあります。2つ目は『貸す』。メリットは定額の家賃収入が入ってくることです。手放したくはないが、しばらく活用予定がないという方におすすめです。3つ目は『解体する』。解体費用はかかりますが、土地として売りやすくなる可能性があります。その他、家族で使う、譲るといった選択肢もあります」

空き家の活用は、人口減少対策にもなります。高知県に移住を望んでいる人が、住める空き家がないために諦めるケースが2023年度160件以上ありました。空き家の供給量を増やし、その活用を通じて地域のにぎわいにつなげることも重要です。

(県空き家対策チーム 佐々井愛美さん)
「空き家と移住者をマッチングをしたり、地域の拠点として空き家を活用することで、地域ににぎわいを作り出すことができたらと思っています。各市町村では、地域のことをよく知る人たちが、行政と連携しながら空き家の掘り起こしを行ったり、また空き家バンクへの登録を促したり、活用できる空き家を増やすことに取り組んでいます」

こちらは空き家を改装して、2021年にオープンした『おすそわけ食堂まど』です。お店を切り盛りするのは、鳥取県出身の陶山智美さん。陶山さんは、この物件を市町村の空き家情報サイト「空き家バンク」で見つけました。


「空き家バンク」とは全国の県や市町村など自治体が提供する空き家のマッチングシステムです。

空き家を売りたい、貸したい人と、空き家を買いたい、または借りたい人をつなぐ仕組みで無料で利用できます。空き家の持ち主はインターネット上で広く買い手や利用希望者を探すことができます。
(店主 陶山智美さん)
「店をしたかったので『戸建てで賃貸のところないかな』ってチェックしていました。あと香北町であまり飲食店がないっていうのを聞いて、せっかくアンパンマンミュージアムもある、いっぱい観光資源のある町なのに食べる場所が少ないというのはもったいないと思って、自分もやらせてもらおうかなと思って、こちらに来ました」

こちらの食堂では、フードロスや子どもの貧困といった地域課題の解決に取り組んでいます。

(陶山智美さん)
「空き家を活用して地域の人から集まる規格外の食材とか、有志の人からおすそわけしてもらう食材を使って、家庭料理を提供している食堂になります」
こちらは人気の日替わり定食。この日のメニューにも地元の生産者やアルバイトスタッフの家族、さらにはお客さんからのおすそわけ食材が使われていました。

こちらは2024年のクリスマス会の模様です。地域の人たちや子どもたちが家族や親戚の家に来るように自然に集まり、みんなでケーキを準備していました。


(地元の人)
「自分ちで使いきれないものを持ってきて、『使えるやったら使ってください』みたいな」

(アルバイトの大学生)
「ほんと食料だけじゃなくって『ちょっとお手伝いするよ』っていう気遣いもそうだし、そういう”おすそわけ”の循環がここで生まれてるんだなぁって思います」

元々空き家だったこちらの食堂には今では多くの人たちが集い、様々な交流がうまれる地域の”にぎわいの場”になっています。

(店主 陶山智美さん)
「多世代で集まるってこの時代なかなかないと思うので、そういう場所が作れているというのは皆さんのおかげなんですけど、やってよかったな、続けててよかったなと思うところです」

(県空き家対策チーム 佐々井愛美さん)
「空き家の放置は、自分の家族や地域の人、誰にとってもいいことはありません。高知県では、空き家に関するさまざまなお悩みについて、無料で相談できる窓口を開設しています。空き家を売ったり貸したりしたい、相続や登記の手続きがわからないなど、空き家に関することなら、まずはお気軽に、メールまたはお電話でご連絡ください」
