高校生や中学生が、模型ロケットの製作と打ち上げ技術日本一を競う大会「ロケット甲子園」が、福島県内で初めて開催されました。

この大会は、若者に宇宙への関心を高めてもらい、新たな産業を生み出す人材を育てようと開かれたもので、全国から8高校、9チームが出場しました。会場となった南相馬市は、航空宇宙関連企業の進出が進んでいて、宇宙ベンチャー企業のアストロXが去年小高区でロケット打ち上げ実験をするなど、ロケット先進地として注目されつつあります。

福島県代表は、去年の県大会で優勝した福島高校チーム。2年生と1年生の有志3人でロケット製作に取り組んできました。ロケットには、宇宙飛行士に見立てた生卵を2個搭載し、着地後卵が割れていたら失格という厳しいルールがあります。

福島高校チーム

福島高校2年・高野心平さん「発泡スチロールだけだと衝撃が卵に直に伝わって割れそうだったので、緩衝材を使って衝撃を和らげようと考えました」

卵をどうやって保護するか、各チームの工夫が光ります。

埼玉県立大宮工業高校チーム「スポンジとゲルを隙間に敷き詰めて、何とか守ってくれないかと思っている」

福島高校2年・渡邉侑真さん「全く自分たちが考えていなかったような形をしていたり、すごくきれいな機体があったり、いろんなことが学べるんじゃないかと楽しみにしている」

機体検査では、大きさなど規定通りにロケットが作られているかが厳しくチェックされます。福島高校チームは、ロケット下部のフィンと呼ばれる部品の改良を指示されました。

打ち上げ開始まであと30分。3人で力を合わせます。アクリル板を細く切ってフィンに貼り付け、強度を上げる作戦です。軽くて丈夫なロケットを目指します。

いよいよ打ち上げです。大会では到達高度や滞空時間のほかに安全に打ち上げが行われたかなど、複数の項目が審査されます。

福島高校チームの1回目。順調に打ち上がりましたが…。

「卵がない(1個)どっかいっちゃった」

1回目は残念ながら失格となった福島高校チーム。2回目の打ち上げに全力を注ぎます。

ロケット甲子園審査員・和田豊さん「日本の宇宙開発はどんどん大きくなろうとしている。その中心になるのが高校生、中学生彼らたち。彼らはまさに日本の宇宙開発の未来であり希望」

大会2日目の9日、福島高校チームのロケットは打ち上げに成功し、卵も割れずに着地しました。大会で実際に打ち上げられたロケット「梅高(ばいこう)2号」は、500グラムもない機体でとても軽いものです。

ロケット甲子園優勝は、東京都代表の小石川中等教育学校で、福島高校は3位入賞は果たせませんでしたが健闘を認められ、2つの特別賞を受賞したということです。