長崎県対馬市沖の定置網で、島民の誰もが「見たことがない」と口を揃える「巨大な魚」が生きた状態で見つかりました。魚の正体は?専門家に聞きました。

5メートルはあるとみられる巨大な体、頭は丸く、口は大きい…。1月29日、長崎県対馬市沖の定置網にかかった謎の巨大魚は、一度漁港まで運んだあと再び沖に放したのに、30日湾内に戻っているのが見つかりました。

地元の漁師は「かわいいもん、見とってね」との感想です。

正体は?

魚類の研究者、長崎大学水産学部の山口敦子教授に、謎の巨大魚の映像を見てもらいました。

長崎大学水産学部 山口敦子教授:
「口が著しく大きくて、ここの下あごのところに黒い斑点が。ちょっと(ひげの剃り跡がある)おじさんみたいな感じですね」

確かに、下あごに「ひげの剃り跡」にも見える黒い斑点が確認できます。(※「画像」から確認できます)そして山口教授は、巨大魚の正体をこう推定しました。

長崎大学水産学部 山口敦子教授:
「総合的に考えると、『メガマウスザメ』と考えられます」

「メガマウスザメ」。その名の通り大きな口から名前が付いたサメです。巨体とは裏腹に「小さなプランクトン」を主食にしています。日本国内での発見はたった「30例ほど」。山口教授は、長崎県対馬での発見は異例だといいます。

長崎大学水産学部 山口敦子教授:
「今まで日本で見つかってるのはほとんどが太平洋側なんです。それ以外だと福岡で1回あっただけなので、おそらく今回2例目ということになると思います」

対馬にやってきた「メガマウスザメ」ですが、31日昼前、死んでいるのが確認されました。

長崎大学水産学部 山口敦子教授:
「もし、持ってきたら解剖してもらえないか?ということだったので、『いいですよ』と返事しています。1トンはあると思うので、運べるのかと心配していますが」

メガマウスザメは、繁殖の仕方や寿命、回遊経路など分かっていないことが多く「謎のモンスター」とも「幻のサメ」とも言われており、今回の対馬での発見が生態解明の手掛かりになることも期待されます。

※記事でメガマウスザメの鳴き声に言及していましたが、サメが鳴くことは考えにくいという専門家の見解もあり、当初の原稿と映像を一部修正しています。