あすからはじまる通常国会。焦点の一つとなるのが、東京などで今年度から始まった所得制限のない高校の授業料無償化です。歓迎ムードが広がる一方、新たな教育格差を生む可能性も指摘されています。
受験シーズンまっただ中。都内の高校受験専門の塾では、生徒の志望校選びにある変化が起きていました。
中学2年生
「(私立は)親の負担が高くなっちゃうなというのがあったけど、無償化になったからもう本当に頑張ろうって」
ZENT進学塾 武田知也 代表
「私立は選びやすくなったっていう声は、色々なところからチラホラ聞くことはあります」
大学までエスカレーター式で進学できる附属高校など、私立を志望する傾向が高まっているというのです。その背景にあるとされているのが、高校授業料の実質無償化。
東京都が今年度から所得制限を撤廃し、私立も含め、都内に住む高校生の授業料を実質無償化する取り組みを始めたことです。
3歳の子どもの親
「経済的理由で公立しか選べない人も私立が選択肢として広がる」
今月公表された都内の公立中学3年生の進学希望調査では、都立高校の志望率が調査開始以来、最も低くなりました。
都の担当者は「志望者が減少した理由は分析できていない」とした上で、「高校の(授業料)無償化が判断材料になった可能性は十分にある」と話します。
東京都以外に住む子育て世帯からは。
神奈川県在住の親
「全国的に統一して、地域差なく無償化になったらいいなと思います」
あすから始まる通常国会でも、東京など一部自治体で進められている高校授業料の実質無償化を「国として全国で実施するか」が焦点の一つとなっています。
日本維新の会が全国一律での導入を求めているのに対し、自民・公明の与党は慎重な姿勢を示しています。
自民党 柴山昌彦 元文科大臣(今月20日)
「余裕の生じた高額所得者の方が塾代に使うとか、そういったことも考えられるのではないか」
一律で無償化した場合、新たな格差が生まれるのではないかというのです。
一足早く実質無償化を導入している都内の子育て世帯からは「副作用」ともいえる、こんな悩みが。
小学3年生の子どもの親
「塾なのか、公文だったりとか、始めるのがみんな早いなって」
小学6年生の子どもの親
「今6年生なんですけど、周りの子でも半分くらいは塾に入っている」
小学6年生
「半分以上は入っている」
小学6年生の子どもの親
「比較的低年齢化してると思います」
塾に通う費用など教育全体にかかるコストは、むしろ高まるのではないかとの懸念も広がっています。
塾を運営する代表は。
ZENT進学塾 武田知也 代表
「(高校無償化で)思っていたのと違う影響が出てきちゃうのは当然だし、こういう問題が出てきちゃったよねで、また議論し直していくので良いんじゃないのと思う」
自民・公明と維新の会は、来月中に一定の結論を出すとしていますが、無償化による弊害とも向き合い、教育制度のあり方を真摯に議論する必要があります。
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