従来のものよりパン作りに適していて、栽培時の病気にも強いそうです。そんな小麦の新品種を、「農研機構西日本農業研究センター」が開発しました。

今回新たに開発した新品種「せとのほほえみ」です。現在、西日本では、パン用の小麦品種として「ミナミノカオリ」や「せときらら」が作付けされています。研究担当者の伊藤美環子さんは、従来の品種には課題があったと話します。

農研機構西日本農業研究センター 伊藤美環子さん
「『せときらら』の方は、すごく収量がとれて良い品種なんですが、小麦というのは収量がとれすぎると、タンパクが上がりにくいというところがありまして、パン用としてはタンパクが高いというのが重要ですので」

小麦に含まれるタンパク質が多いほど、パンを焼いた時にふくらみが良くなるそうです。実際、こちらが「せときらら」と新品種の「せとのほほえみ」から作ったパンです。栽培条件は同じです。

「せとのほほえみ」の方が、より膨らんでいるように見えます。特徴の一つがタンパク質が従来品種より多いことです。

農研機構西日本農業研究センター 伊藤美環子さん
「こちら(せときらら)は少し荒い感じがあるかと思うんですけれども、こちら(せとのほほえみ)の方はですね、きめ細かくなっておりまして」

切った時の断面にも違いが見られました。他に病気などにも強い特性を持っています。一つは「ミナミノカオリ」が弱点としていた「穂発芽」です。「穂発芽」とは、収穫前に雨に当たり、穂に実った種から芽が出てしまい品質低下をまねくことです。

もう一つは近年、発生が拡大傾向にあって、収穫減をもたらす「コムギ縞萎縮病」ー。このいずれにも耐性をもっているのです。今後、従来品種に置き換えて普及を図りたい考えですが、まだ課題がありそうです。

農研機構西日本農業研究センター 伊藤美環子さん
「安定性というところでは『せとのほほえみ』の方がおそらく有利ではないかと思いますが、農家さんにとっては(『せときらら』と比べ)収量が少し減るというのは、一つ導入しにくい点にはなるのかな」

「せとのほほえみ」…。その名の通り、生産者も消費者も笑顔でほほえむ日が来るでしょうか。