「キザったらしい」「ちゃかす」の語源とは

神戸:「キザ」。どうして「キザ」と言うのか?

下田:キ……気持ちの「気」。

神戸:うん、当たってる!

下田:「ザ」は……。

神戸:これは難しいな。「気障り」の略がキザなんですね。どういうことかと言うと、「気になること」という意味で「気障り」と言っていたのが、次第に「気にくわぬこと」になり、「言動・風俗の嫌味なこと」になり、「色情的でいやらしいこと」になっていく。

下田:「キザなやつだね」って、若干ネガティブが入ってる。

神戸:だから「嫌味なこと」が発展して、江戸時代は結構「いやらしい」という意味で「キザ」という言葉を使っています。「気障り」が省略されて「キザ」になっている。「そうなの?!」と思いました。

神戸:もう一つ、これはどうでしょう。今で言う「ちゃかす」の「ちゃ」とは?

下田:…お茶?お茶を沸かす感じ?

神戸:「茶を沸かす」=ちゃかす。いい線いってます!「茶」というのは江戸時代「冗談」とか「無駄口」という意味で使われていました。

下田:あ、「茶々入れる」とか?

神戸:そうです、その通りですよ!相手の言うことをはぐらかす、愚弄するというのを、「茶にする」と言っていたんです。元々「冗談」「無駄口」が「茶」。「茶にする」というのは「相手の言うことをはぐらかす」。それで「茶かす」という現代語になってるわけですね。

罵倒語「カス!」の由来

神戸:では、これはどうでしょう。悪い言葉ですが、「このカス!」とかあるでしょ。この「カス」って何でしょう?

下田:カス……「加える」?

神戸:ちょっと違うな、粕漬けの「粕」ってあるでしょ。酒の粕ね。「糟っ食らい」という言葉が江戸時代にはありました。下等の酒を飲む酔っぱらいを嘲って、「糟っ食らい」って言っていたんです。そこからですね。例えば男を罵倒する時、「カス野郎!」

下田:それは酒粕のカスから!

神戸:そう!「安酒を飲んでいる馬鹿野郎」っていう感じ。

下田:ははは!

神戸:それから、神主さんは禰宜(ネギ)ですけど、「糟禰宜!」。安酒(糟)を飲むから「糟っ食らい」。そこから「糟野郎」とか。今はあまり使う使っちゃいけない言葉ですど、実は安酒の粕。

下田:そうなのねー。