青森県内の企業全体の約7割は青森銀行とみちのく銀行のいずれかをメインバンクとしていました。両行の合併で、融資を相談する選択肢が1つ減りますが、専門家は利用者に不当な不利益はないように定められていると強調しています。

県内で唯一の地銀となる青森みちのく銀行。東京商工リサーチのまとめでは、去年7月末の時点で青森銀行・みちのく銀のいずれかをメインバンクにもつ県内企業は1万2502社。全体のおよそ7割にのぼり今回の合併が与える影響は大きなものになります。地方銀行の経済分析をしている青森中央学院大学の山本俊准教授です。

山本准教授は国の特例法で統合前の貸出金利や手数料を統合したあとに引き上げることなど利用者に不当な不利益がないようにすることが定められていることを強調しています。
※青森中央学院大学 山本俊 准教授
「不当な不利益をモニタリングする組織を複数立ち上げていますし、半年に一度、顧客から得られたアンケートの内容を公開していく。不当な不利益は心配しなくても良いのではないか、安心して良いだろう」

一方で県内企業にとって両行の合併は、融資を相談する選択肢が1つ減ることになります。そこに新たな商機を見出して、いま、青森県内では東北の地銀が営業を強化しています。2022年には宮城県仙台市に本店がある七十七銀行が青森県内初の支店を青森市に開設しました。

預金で比べた場合、七十七銀行は東北の地銀1位で2位が福島市に本店を置く東邦銀行、3位が青森みちのく銀行です。

※青森中央学院大学 山本俊 准教授
「競争があるからこそ、選ばれる銀行、選ばれる企業になるための努力が促されるわけですよね。それは金利面で見ても非金利面で見ても顧客サービスの充実につながる。競争環境を維持することによって、顧客、新銀行双方にメリットがあるだろう」

二大地銀が競っていた青森県は新銀行の誕生を契機に、県外の金融機関が攻勢をかける時代へと移り変わることになります。
