富山湾に仕掛けた刺し網を引き上げると“骨だけ”になった魚が…。能登半島地震のあと富山湾では異変が相次いでいます。その一つが網にかかった魚を食い荒らす“海の掃除屋”ともいわれる『ヨコエビ』の大量発生です。いったいなぜ?調べると、地震後の深海の変化と深い関わりが…。
富山湾の沖合に浮かぶ一隻の漁船。射水市の刺し網漁師・東海勝久さんの船です。東海さんが毎年6月から夏にかけて刺し網で狙うのは新湊が全国に誇るブランド魚「万葉かれい」です。400グラム以上で良質なマコガレイには「万葉かれい」のタグが付けられ、10万円以上の値がつくこともあります。
しかし、東海さんの漁に同行し、刺し網を上げると驚くべき事態になっていました。網にかかっていたのは、骨だけの無残な姿になった高級魚のカレイやマダイでした。
中には骨だけになってしまった魚も…。
高級魚を食したのは、体長およそ1センチ前後のヨコエビです。
魚の死骸などをエサにしていて、“海の掃除屋”とも呼ばれています。網にかかった魚の体には「ヨコエビ」が大量に付着していました。
刺し網猟師・東海勝久さん:「これです。これがこの前まで多い時だと網にべっとりとこのヨコエビがついていることもあった」
専門家に写真を見てもらったところ、このヨコエビは『フトヒゲソコエビ』というヨコエビのグループとみられるということです。『フトヒゲソコヨコエビ』は、死んだ魚とか、動物の死体などを餌とし、夜になると海の中に泳ぎ出して魚の死体とかの餌を探して泳ぎ回る特徴があります。
広島大学富川光教授「この仲間は非常に遊泳力が発達しているので、刺し網にかかった魚は、格好のごちそうになります。そこに、群がって食べてしまうことは十分ありえる話だと思います」
