「人間は必ずいつか死ぬ、時間を大事にー」。総合格闘技「修斗」の元世界バンタム級王者、松根良太(まつね・りょうた)さんが、生まれ故郷のうるま市・津堅島で8人の小中学生を相手に講演し、夢に向かって努力することの大切さを子どもたちに伝えました。
勝連半島の南東およそ4キロにあるうるま市の津堅島。3歳まで津堅島で過ごした松根さんは17日に里帰りし、本島への進学を機に島を離れることも多い子どもたちを前に「夢や目標に向かって努力する大切さ」をテーマに自らの経験を語りました。
2000年に18歳でプロデビューし、2003年には史上2番目の若さで修斗の世界王者に輝いた松根さん。そんなファイターの講演は、意外にも冷静な言葉で話が始まりました。

▽修斗 元バンタム級世界王者 松根良太さん
「どの人間にも2つ共通点がある。必ず死ぬ」「もう1つは “幸せになりたい” 」
子どもたちと向き合った松根さんが「死」という言葉を使ったのには、自身の子ども時代に経験した困難がありました。
「小学校6年生の途中に腎臓病になり、中学3年まで運動、体育がまったくできなかった。たくさんの薬を飲み、ムーンフェイスという顔の腫れも出た。風邪をひかないためにマスクを常にしていた」
運動ができなかった3年間を乗り越え、体を動かせる喜びを噛みしめた当時の思いが原点となり、格闘技界の頂点に上りつめた松根さん。

「確実にこの病気があったからこそ、今の自分がいる」
「いつか自分は死ぬと心に留めておくと、日々の幸せなことが、とても幸せに感じることができます」
子どもたちに、夢を叶えるために「人にやさしくすること」「時間を大事にすること」「言葉を上手く使ってコミュニケーションを取ること」の3つのヒントを授けました。
「この人生が楽しくて仕方ない」
「夢を追いかけている時間はとても輝きます。夢を追いかけている人はかっこいい。そして夢をかなえた人生はとても幸せ。僕は叶えたので、この人生が楽しくて仕方ない」
「そして夢をかなえると人間力が強くなります。そして、自分が幸せになるかと思いきや、自分のお父さんお母さんまた親戚や友達もとても豊かにするんですね。なので夢をかなえるために突き進んでほしい」
講演の後には子どもたちと腕相撲をするなどして交流を深めた松根選手。

子どもたちはその強さに憧れの眼差しを向けていました。
▽交流した生徒
「津堅島から出たチャンピオンを誇らしく思えた」「大人になって、今日聞いたことをヒントに夢をかなえられたらと思う」
――島を出る子どもたちにどう育ってほしい?
▽修斗 元バンタム級世界王者 松根良太さん
「沖縄は広い。日本は、世界はもっと広い。ぜひ旅立って夢をかなえて仕事をこなして、10年たったときに、沖縄って、津堅島ってこんなに良いところだったんだと気づくと思います」
憧れのチャンピオンからエールを送られた8人の小中学生。自らの夢を見つけ、大きく膨らませようと目を輝かせていました。(中部通信員 高瀬弘行)