■弁護側「合法的な行動をしたとしても結果、回避可能性はなかった」
17日に札幌高裁で開かれた控訴審で、弁護側は「札幌地裁判決は、右折の0秒前にでも前方を確認して停まっていれば衝突を回避できたと指摘するが、仮に右折の1秒前に前方を確認したとしても、その時点で白バイの速度は時速92キロで、合法的な行動をしたとしても結果、回避可能性はなかった」などと主張。

「被告は右折の数秒前に前方を確認していて、結果回避義務の履行としては十分」で、地裁判決には事実誤認や法令適用の誤りがあるとして無罪を主張しています。

一方検察側は控訴の棄却を求めています。

控訴審は即日結審し、判決は来年2月20日午前11時に言い渡されます。

【これまでの裁判の経緯】
 この事故をめぐり、検察は、2022年3月、谷口被告を不起訴処分としましたが、検察審査会への申し立てを受けて再捜査した結果、2023年5月8日付けで在宅起訴していました。

右折したトラックの中央付近に衝突痕

 これまでの公判で、被告側は「結果は重大だが、時速120キロという高速バイクの接近を予見し、回避することは不可能。サイレンは鳴ってないし、赤色灯もドラレコでははっきりと確認できない。右折の仕方には問題あったが、交通法規違反にとどまり、道交法違反の刑事罰は無関係。被告に過失はない」として、無罪を主張。

トラックは、道道に合流待ちの乗用車の“内側”に入る不適切な右折

 これに対し検察は「当時、白バイは警ら中で、赤色灯を点灯させながら118キロで走行していたが、トラックを見つけて88キロまで減速した。サイレンを鳴らさず、118キロ出していたのは、違反車両に存在を察知させないためとも言えて、違法性はなく、責められることもない。被告の『見えた』という表現は信用できず、右折先の反対車線に停止していた車両の“内側”を進行しようとして安全確認を怠り、事故が起きた。刑事責任は重い」として、禁錮1年2か月を求刑。

北海道警察は、事故防止に向けて「最高速度100キロ」の通達…

 一方、公判では、北海道警察が事故防止に向けて、白バイに「最高速度を100キロ」とするよう通達していたことも判明しましたが、検察は、通達を18キロも超える速度で走行するほどの緊急性が白バイにあったのかなどは、説明していませんでした。