ノーベル平和賞の授賞式に臨んだ日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会。演説に立った92歳の被爆者は、予定されていた原稿にはなかった言葉を使って、世界に、そして日本に訴えかけました。その思いとは。
昨夜、ノルウェーのオスロで行われたノーベル平和賞の授賞式。日本被団協の代表委員の3人がメダルと賞状を受け取りました。演説に立ったのは、13歳の時に長崎で被爆した田中熙巳さん(92)です。
日本被団協 田中熙巳 代表委員
「『核のタブー』が壊されようとしていることに限りないくやしさと憤りを覚えます」
田中さんはロシアによる核の威嚇など、いまも世界が核の脅威にさらされている現状を非難しました。
日本被団協 田中熙巳 代表委員
「核兵器は1発たりとも持ってはいけないというのが、原爆被害者の心からの願いであります」
授賞式は被爆地の広島と長崎でも多くの市民が見守りました。
広島で被爆 切明千枝子さん(94)
「これが戦争のない、殺し合いのない平和な世界につながってくれるとありがたいし、嬉しい」
長崎原爆被災者協議会監事 被爆者・長野靖男さん(81)
「核兵器をなくさないといけないという、その運動に立ち上がるきっかけになってほしい」
さらに、田中さんの憤りは核保有国だけではなく、日本にも向けられていました。元々の原稿にはない言葉で政府を批判したのです。
日本被団協 田中熙巳 代表委員
「もう一度繰り返します。原爆で亡くなった死者に対する償いは、日本政府は全くしていないという事実をお知りいただきたいと思います」
原爆で亡くなった人に対する補償を日本政府が拒んでいると指摘。その日本政府は…
林官房長官
「今回の受賞に祝意を表したいと思います」
日本は唯一の被爆国でありながらアメリカの「核の傘」に依存し、被爆者が求める「核兵器禁止条約」には現在も参加していません。
林官房長官
「核抑止を含む抑止が我が国の安全保障を確保していく上で基礎であると考えていることは変わりはございません」
日本被団協は70年近くにわたり、核なき世界を目指し続けてきました。
日本被団協 山口仙二 代表委員(当時) 1982年
「ノーモア・ヒロシマ!ノーモア・ナガサキ!ノーモア・ウォー!ノーモア・ヒバクシャ!」
多くの先人たちが核廃絶を訴えてきましたが、被爆者も高齢化が進み、平均年齢は85歳に。記憶をどう引き継ぐかが課題です。
日本被団協 田中熙巳 代表委員
「10年先には、直後の直接の被爆体験者としての証言ができるのは数人になるかもしれません」
授賞式のあとに行われたトーチパレード。亡くなった被爆者などおよそ130人の写真が掲げられ、子ども達や若者の姿も多くありました。パレードが受賞者らのいるホテルに到着すると。
記者
「田中熙巳さんら代表委員3人がバルコニーから出てきました」
ノルウェー在住(15)
「私たちの世代のために立ち向かう人たちがこれだけいるって、本当に素晴らしい」
ノルウェー在住(25)
「自分たちの声を届けるため、戦い続けなければならない」
新しい世代にこう呼びかける田中さん。
日本被団協 田中熙巳 代表委員
「これからは、私達がやってきた運動を次の世代の皆さんが工夫して築いていくことを期待しております」
日本の若者からは。
第25代 高校生平和大使 安野美乃里さん
「春から大学生になるのですが、やっぱり周りを巻き込んで、もっともっと(核兵器をなくしていくための)世論を強めていきたい」
田中さんら被爆者は、11日には現地の高校や大学で体験を語り、若い世代に核廃絶を訴えます。
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