民謡や三味線の曲は楽譜がほとんど存在していませんでした。このため、青森県の八戸工業大学は演奏を自動で楽譜にする装置を開発、これまで制作した100曲分の楽譜を、岩手県立総合教育センターに寄贈しました。
21日、八戸工業大学で贈呈式が行われ坂本禎智(さかもと・よしのり)学長が、岩手県立総合教育センターの村上弘所長へ東北を中心にした民謡や三味線、100曲の楽譜を手渡しました。

今回、寄贈された曲は、これまで楽譜が存在せず、師匠の演奏を聴いて覚えるのが主流とされていました。このため、八戸工業大学大学院の小坂谷壽一(こさかやじゅいち)教授が2009年から開発したのがこの自動採譜装置でした。
弦に特殊なマイクが付いたエレクトリック三味線で音を機械で読み取り、自動で譜面にできます。完成した譜面を使って2022年7月には、世界的なジャズピアニスト、デヴィット・マシューズさんの伴奏で、民謡歌手の松田隆行さんが「田名部(たなぶ)おしまこ」を歌いあげました。

岩手県立総合教育センターは、今回寄贈された楽譜を学校の授業で活用してもらい伝統文化の継承につなげたいとしています。

※岩手県立総合教育センター 村上弘所長
「音楽の先生が自分の得意な楽器を使って民謡を子どもたちに伝えていくのはすごく価値のあることだと思います」

※八戸工業大学大学院 小坂谷壽一教授
「底辺の拡大につながると同時に西洋楽器と邦楽のコラボが簡単にできてしまう、これは非常に画期的ではないかと思っています」

八戸工業大学は今後、岩手県以外の東北地方の各県にも楽譜を寄贈して、「和」の音楽の記録を次世代へ継承するのに役立てたいとしています。