【施設との打ち合わせ】
職員:「いま(経管で栄養を)注入中のお子さんもひとりいて、光の反射に過敏なお子さんが…」
クリニクラウン:「物の受け渡しは?」
職員:「大丈夫です」

医療面での専門的な知識も必要となるため、その数は少なく、協会の認定を受けたクラウンは全国で33人。沖縄は伊佐常和さん、1人のみ。回りきれず、県外からの派遣に頼る状況が続いている。


▽クリニクラウン 伊佐常和さん
「入院中の子どもたちが、クリニクラウンが来る日は自分らしさを出せる。前を向ける。それが成長や発達に繋がると思うんですよね。沖縄でクリニクラウンを育てて、入院中の子どもたちのところに定期的にクラウンを派遣できるような体制を作りたいなと」

伊佐さんは、新たに仲間を募るためのオーディションの開催を、来月(来年1月)に計画している。県内では初の試みのため、事前に活動への理解を深めてもらおうと、ワークショップを実施。

クリニクラウンが、病気の子どもとどうコミュニケーションをとっているかを体感してもらった。

オーディション希望者のなかには、病気の子どもの母親もいた。小橋川南さんの娘、サラちゃんは、去年9月に白血病の診断を受け入院。そのとき、クリニクラウンの伊佐さんと出会った。

▽長女が白血病と闘う 小橋川南さん
「長い治療になるし、治療の内容も怖かった。でも楽しませてくれたりとか、気持ちを盛り上げてくれて、それがすごく嬉しかった。今、娘が退院して元気になってきているので、私もそういう子どもたちのために何かしたいなという気持ち」

クリニクラウンのワークショップに参加した小橋川南さん

▽クリニクラウン 伊佐常和さん
「クリニクラウンになるには? ってよく聞かれるんですけど、子どもの前で対等に感情を出して、一緒に関われること。子どもからの発信を広げていく。それを理解していただいたら、クリニクラウンになれるのかな」

病気の子どもと家族に、前を向く力を与えるクリニクラウン。伊佐さんが沖縄にまいた種が、芽吹きはじめている。

<取材MEMO>
クリニクラウンの沖縄オーディションは2025年1月18日。12月24日までエントリーを受け付けている。(取材 比嘉チハル)